熊本の天気
熊本
/
天草芦北
阿蘇
球磨
FORTUNE
2016年4月、震度7の揺れが2度襲った「熊本地震」。200人以上の命を奪い、街並みも一変しました。あれから7年―。熊本は今なお復興の途上です。今に残るデータをひもとき、「あの時」の記憶と教訓を伝えます。
2度の震度7
2016年4月14日午後9時26分のマグニチュード6.5の「前震」に続く、16日午前1時25分の「本震」の規模。国内で震度7の揺れを観測したのは、5回目。28時間以内に2度繰り返したのは観測史上、初めてでした。熊本地震を機に、気象庁は最初の揺れより弱い印象を与える「余震」を使わず、「同程度の揺れに注意」と呼びかけるようになりました。(気象庁データより)
連載「連鎖の衝撃 行政編」
連鎖との闘い
2021年3月末までに、震度1以上の揺れを観測した数。余震の多さは熊本地震の特徴のひとつです。前震から16日間で震度5弱以上を観測したのは22回(大分含む)に上りました。発生1週間の余震の数は阪神大震災の2倍、東日本大震災の1.7倍です。余震が続いたことで「建物の中は怖い」と避難所を選ばずに、車中泊を選択する被災者が少なくありませんでした。(気象庁データより)
連載「あの時何が 益城町役場編」
8割が関連死
発生直後に警察が確認した死者は50人。その後、災害による病気やけがの悪化などによる関連死が218人、ほか大雨による2次災害で5人が犠牲になりました。阪神淡路大震災、新潟中越地震と比べて関連死の割合が高いのも特徴と言われます。避難所生活の長さ(29%)、余震への恐怖によるストレス(40%)が理由として挙げられています。(熊本県データより)
連載「連鎖の衝撃 生命編」
想定よりも…
同じ内陸性地震の阪神淡路大震災や新潟中越地震と比べると被害は抑えられました。熊本県は過去の調査で、震度7の被害を予測。負傷者は1.5万~2.2万人を予想していました。この要因として①夜や未明の発生で活動する人が少なかった①津波が起きなかった②ガスの自動遮断が普及し、火災が起きなかった―などを挙げています。(熊本県データより)
連載「あの時何が 熊本市民病院編」
最長7カ月
「本震」直後、855カ所の避難所が開設され、県民の約1割が避難所に身を寄せました。最長で11月18日まで避難所生活を余儀なくされる被災者も。余震が多く、避難生活が長引いたとされています。車中泊も多く、実際の避難者数は分かっていません。車中泊でエコノミークラス症候群になるケースもありました。(熊本県データより)
連載「連鎖の衝撃 避難編」
街並み一変
2度の震度7という未曽有の衝撃で、多くの家屋が倒壊しました。中には新耐震基準を満たす建物もありました。「全壊」「半壊」などの判定する基準が自治体で異なる混乱もありました。熊本市内では、5つのマンションが再建・解体を余儀なくされ、今なお再建を果たしていないところも。熊本地震を契機に、政府は被災マンション法の見直しを進めています。(熊本県データより)
連載「連鎖の衝撃 建物編」
阿蘇ルート寸断
県予算の4年分に相当。最多は住宅関係で2兆円。次いで商工関係8200億円。道路などの公共土木関係は2685億円。特に観光地・阿蘇へのルートの被害が深刻で、阿蘇大橋の崩落をはじめ、国道57号が寸断、JR豊肥本線や南阿蘇鉄道も寸断されました。政府は、県外を含めると被害総額は4.6兆円と推計しています。(熊本県データより)
連載「連鎖の衝撃 経済編」
落ちた「水の都」
被災により県民を苦しめたのは断水でした。熊本の上水道はほぼ地下水で支えており、水源も点在するため「災害に強い」とされていましたが、多くの水道管が破損。県内では42.7万戸が断水し、熊本市は初めて全戸断水。完全復旧までは1年半を要しました。ほか、県内の約45.7万戸が停電。10万戸でガスが寸断されました。(内閣府データなど)
連載「あの時何が 熊本市上下水道局編」
初のプッシュ型支援
自治体から要請を待たずに物資を供給する「プッシュ型支援」を、政府は初めて取り組みました。食料だけでなく、毛布12万枚、紙おむつ8万枚などを5月6日までに送り込みました。災害発生直後には効果を発揮する一方、時間の経過とともに被災者に必要とされる物資と供給される物資のミスマッチもあり、保管場所を含め、物資を被災者まで届けるまで、混乱も起きました。(熊本県データより)
連載「あの時何が 県災害対策本部編」
救援とデマと
総務省の調査で、スマホ利用者のうち地震発生時に情報収集の手段で最も多かったのが携帯での通話(69.5%)、次いでSNSでした。SNSは東日本大震災(0.9%)より利用が広がり、安否確認や必要な救援物資の呼びかけ、復旧作業の迅速化にも役立ちました。一方、「ライオンが逃げた」とデマ情報が拡散。課題も浮き彫りになりました。(総務省データより)
連載「連鎖の衝撃 メディア編」
傷ついた名城
熊本城は「過去最大級」の被害を受けました。重要文化財建造物の全13棟、復元建造物全20棟も被災。石垣は崩落や膨らみなど約3割に被害がありました。熊本城の再建に対し、一口1万円からの寄付制度「復興城主」などで、全国から約16万件の支援が集まりました。熊本市は完全復旧は2052年までかかる、としています。
特集「熊本地震から7年 復興進む熊本城の今」
全国初の避難
熊本市動植物園は前震翌朝から閉園。園内は液状化し、水道管は破損。獣舎はひびが入るなど被害を受けました。余震が続く中、園は災害時では国内初となる猛獣の県外避難を決断。ライオンやトラなど4種5頭を、福岡の動物園などに移送しました。園も復旧工事に合わせて、ガラス張りの猛獣舎など園内を衣替え、18年12月22日に全面開園した。
連載「あの時何が 熊本市動植物園編」
お金に関する知識が生活防衛につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指す記者と一緒に楽しく学んでいきましょう。
※次回は「使える補助金」編。5月10日(金)に更新予定です。
熊本県政のトップを決める県知事選。戦後、公選制となって以来、激しい選挙戦や候補者調整が繰り広げられてきた。2020年までの20回にわたる県知事選を、各候補の得票数などとともに振り返る。
お使いのブラウザではJavaScriptが無効に設定されています。有効にしてご利用ください。