小さな村に大きな爪痕 熊本県五木村、台風14号で一時全戸停電 不便な生活、いつまで…

熊本日日新聞 | 2022年9月20日 07:00

台風14号で停電し、非常用電源で照明がともる五木村役場のロビー=19日午前8時55分ごろ(小野宏明)

 台風14号は、小さな山村に大きな爪痕を残した。18日夜から村内の全約970戸が停電した熊本県五木村。全戸停電は19日午後も続いた。「いつ、元通りの暮らしができるのか」。台風が去っても、村民は不便な生活を余儀なくされている。

 「突然の停電でテレビの台風情報も入らず、不安だった」。宮園交流館に避難していた建設会社従業員の男性(65)は疲れ切っていた。停電は18日午後10時過ぎに発生。同館など8カ所の避難所に身を寄せた約50世帯100人は、懐中電灯やスマートフォンのライトで夜を過ごした。

 防災の司令塔となる役場も停電。19日午前、九州電力送配電の高圧発電機車から電力の供給を受けて業務を続けた。送電線の仮復旧が進むと、村内の停電は午後8時現在で約220戸まで減少。村によると、村内の土砂崩れで送電線が切れているのが見つかった。同社が原因を調べている。

 五木村は有線の「IP告知端末」の戸別受信機を全世帯に配布し、音声で防災情報を伝達。停電中は使えないため、竹村文秀総務課長は「停電前に避難指示を出した後、緊急情報を出す場面はなかったが、このまま不通が続いたら困る」と焦りをにじませた。

台風14号で停電した五木村役場。非常用電源で照明をともし、業務を続けていた=19日午前8時55分ごろ(小野宏明)

 いち早く仮復旧したのは役場など村内の一部だけ。頭地地区の女性会社員(33)は「冷蔵庫の食材がいつまで持つか。風呂も沸かせない。スマートフォンは車で充電するしかない」と頭を抱えた。打撃は冷凍や要冷蔵の食品を扱う事業者にも。道の駅「子守唄の里五木」は、売り場のショーケース内にあった山うに豆腐や鹿肉ソーセージなどの特産品を保冷車に移し替える作業に追われた。

 高野地区の民宿「山里」には19日夜、引き続き3人が宿泊。経営する土肥好さん(71)は「調理はガスでできるけど、照明のない中で食べることになり、お客さんに不便をかけてしまう。早く復旧してもらわないと」と切望した。

 役場に近い村社会福祉協議会の介護サービスセンターでは、約10人が平日と土曜日にデイサービスを利用。担当職員は「電気がなければご飯を出せず、お風呂も用意できない。20日は開けられるだろうか」と不安な表情を浮かべた。

 村内は道路寸断の被害も出ており、木下丈二村長は「全ての村民の生活が早く通常に戻るよう、電気も含めて復旧を急ぎたい」と話した。(中村勝洋、小野宏明、中原功一朗)

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