台風で市房ダム水位上昇、未明に緊急放流 熊本県の球磨川上流 蒲島知事「下流域の安全を確保」

熊本日日新聞 | 2022年9月19日 20:14

球磨川上流の県営市房ダム。台風14号に伴う大雨で水位が上昇し、緊急放流を実施した=8月24日、水上村(小型無人機で撮影)

 熊本県は19日未明、台風14号に伴う大雨で水位が上昇した球磨川上流の県営市房ダム(水上村)の緊急放流(異常洪水時防災操作)を約2時間にわたって実施した。同ダムの緊急放流は1995年以来で、4回目。放流による家屋の浸水被害などは現時点で確認されていないとしている。

 緊急放流は、ダムの貯水量が判断水位を超えた時点から、ダムに流れ込む水の量と同程度の水を下流に徐々に流して貯水位の上昇を防ぐ。

 県河川課によると、市房ダムの緊急放流判断水位は280・7メートル。県は台風接近に備えて15日深夜に事前放流を始め、17日夕までに貯水容量を約470万立方メートル増やした。

 18日朝には宮崎県側の大雨を受けて流入量が増大し、ダムに水をためる洪水調節を開始。ダムの水位が275・7メートルに上昇したため、県は「貯留能力の約半分になった」と発表。その後も雨脚が弱まらず、19日午前2時に緊急放流する可能性があることを18日午後11時15分と19日午前1時5分、球磨川流域の9市町村に通知した。

 2度目の通知から15分後には判断水位を超過。ただ上流域で雨が弱まる見込みとなり、下流の水位も高かったことから放流開始を約1時間遅らせ、実際に緊急放流したのは午前3時9分だった。

 放水は約2時間後の午前5時6分に終了。この日の県災害対策本部会議で、蒲島郁夫知事は「ダムによって下流域の安全を確保できた。ただ、もう少し多くの量を事前放流できないかなど検証する必要がある」と述べた。

 緊急放流をすると、下流の水位が上昇する恐れがある。2020年7月豪雨で被災し、今回は避難所の駐車場で車中泊した人吉市下林町の女性(73)は速報で緊急放流を知り、「雨風が収まらない中、球磨川が氾濫しないか不安だった。真夜中で周りの様子も分からず、怖かった」と話した。(小山智史、川野千尋)

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