「内密出産」1例目の赤ちゃん、里親へ 熊本・慈恵病院「貴重な一歩」

熊本日日新聞 | 2022年7月4日 21:07

慈恵病院=熊本市西区(谷川剛)

 熊本市西区の慈恵病院が取り組む独自の「内密出産」で、昨年末に生まれた1例目の赤ちゃんが里親へ委託されることが4日、関係者の話で分かった。病院によると、実母は特別養子縁組を希望しており、縁組に向けた手続きが進むことになる。

 赤ちゃんの母親は昨年12月末、病院の新生児相談室長にのみ実名を明かして出産した。母親は県外の居住地に戻り、子どもは乳児院に保護されている。

 赤ちゃんの里親となる家族と、行政側との協議が始まっているという。熊本市子ども政策課は「家庭での養育と同様の環境に向け見通しが立った。子どもの最善の利益を図るため、慎重に対応している」とした。具体的な養育先は明らかにしていない。

 慈恵病院の蓮田健院長は「赤ちゃんは生後3カ月から愛着形成の時期に入り、1例目の子は既にその時期にある。内密出産の法整備がない中、貴重な一歩」と話した。

 特別養子縁組は通常、一定期間里親の下で養育され、実親の意向を直接確認した上で縁組するかどうか、家庭裁判所の審判に入る。今回熊本市は、病院から母親の身元を知らされておらず、直接の連絡もとれないため、病院を通し意向を確認しているという。

 児童相談所は最適な養育環境を決めるため、赤ちゃんの家族関係や実親の状況などを調べる社会調査を行う。管轄する熊本市は今回「可能な範囲で調査中」としている。

 内密出産を巡っては、社会調査ができず里親への委託が進まないことについて、懸念の声が上がっていた。(林田賢一郎、清島理紗)

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