こうのとりのゆりかご
親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」は、熊本市西区の慈恵病院が2007年5月、全国で初めて運用を始めました。
「ゆりかご」の扉を外側から開けて赤ちゃんをベッドに預けると、ブザーが鳴って職員が駆け付ける仕組み。預けられた赤ちゃんは病院で保護された後、児童相談所への通告などを経て乳児院や児童養護施設、里親の元などで育てられます。最近は、特別養子縁組を経て養親に育てられるケースが増えています。
病院では妊娠や出産で悩む母親らのサポートに24時間態勢で当たっており、これまでに約5万件の相談が寄せられています。
20年度までに預け入れられた子どもは159人。国内唯一の施設として多くの命を見守ってきた「ゆりかご」ですが、預け入れの8割近くを占める自宅などでの「孤立出産」が問題となっています。また、子どもが出自を知る権利の保障と親の「匿名性」をどう両立していくかも、大きな課題として横たわっています。
慈恵病院は19年12月、担当者だけに名前を明かして病院で出産し、子どもが一定の年齢になれば母親の情報を知ることができる「内密出産」の運用も始めました。21年12月には初の事例が発生しています。