復興「実感する」81% 7ポイント増、インフラ復旧背景

熊本地震5年 被災者150人聞き取り調査

熊本日日新聞 | 2021年04月10日 11:30

 熊本日日新聞社は9日、2016年4月の熊本地震で住宅被害を受けた被災者150人を対象に続けてきた聞き取り調査の結果をまとめた。復興を実感する人が増え、住まい再建が進む一方、新型コロナウイルスの影響も加わり、今の生活や将来に不安を抱える人が少なからずいる実態が浮かび上がった。

 復興を「実感する」と答えたのは、「ある程度」も含め、1年前の前回調査より7ポイント増えて81%(計86人)。内訳は、「実感する」が44%(47人)で前回比14ポイント増。「ある程度実感する」は、7ポイント減って37%(39人)となった。国道57号の北側復旧道路や新阿蘇大橋の開通などのインフラ復旧を理由に挙げた人が多かった。

 一方、「全く実感できない」と「あまり実感できない」を合わせると11%(計12人)で、前回から半減した。このうち「全く実感できない」は3ポイント減り、1%(1人)。区画整理事業の影響を受けているという益城町の自営業の男性(71)で、「仮設住宅暮らしが続き、復興は夢のまた夢」と訴えた。

 「あまり実感できない」という人からは、「自宅が再建できず、体の調子も悪くなるばかり」=熊本市東区、団体職員、女性(74)、「家の再建による二重ローンの返済が終わらない」=東区、大学教授、男性(68)=といった声が聞かれた。

 「地域コミュニティーの現状」に関する自由記述では、「被災後に戻って来ない家もあり、存続に不安がある」=南阿蘇村、公務員、男性(51)、「住民は減ったが、コミュニティーの結束は変わらない」=山都町、農業、男性(69)=といった声が交錯。地域で事情が異なっていた。

 新型コロナの感染が広がり、「イベントが開催できず、地域のつながりが弱まり始めている」=熊本市中央区、自営業、男性(51)、「サロンなどが計画的に開けない」=南区、主婦(62)=など、コミュニティー再生に影響を与えていることも分かった。(熊本地震取材班)

 ※聞き取り調査は、熊本地震の半年後からスタート。2017年以降は、毎年4月に合わせて実施している。6回目の今年は、24~90歳の男女106人(前回111人)から回答を得た。

生活に「不安や不満」51%

ローン重く、コロナ影響も

 熊本地震の被災者150人を対象にした熊本日日新聞社の聞き取り調査で、現在や今後の生活に不安や不満があると回答した人は「どちらかといえば」も含め、51%(計55人)に上った。前回調査から8ポイントの減少で、今回は新型コロナウイルス禍に伴う経済的な不安が色濃く反映された。

 内訳は、不安や不満が「ある」が25%(27人)で、前回より3ポイント減少。「どちらかといえばある」は26%(28人)で5ポイント減った。

 不安や不満を感じる内容(複数回答)で最も多かった選択肢は「住まい」。前回比で5ポイント減ったが、15%(16人)が選んだ。

 「新型コロナの影響で収入面に不安がある」=益城町、農業、男性(45)=など自宅再建で生じたローンや家賃の支払いを不安視する声が多かったほか、「自宅を再建したが、別の災害の危険性を考えると引っ越しも考えている」=南阿蘇村、会社経営、男性(61)=と災害の頻発に頭を悩ませる人もいた。

 前回最多だった「家計・生活費」は11%(12人)で、ほぼ半減。ただ、この選択肢でもローンの重圧に悩む人が目立ち、夫が県外で働くようになった西原村の女性会社員(61)は「80歳すぎまで働かないとローンを返済できない」と打ち明けた。「ローンが残っているので体調を崩すのが不安。新型コロナに罹患[りかん]したらどうしよう」=益城町、無職、女性(74)=といった声もあった。

 「必要な公的支援」に関する自由記述では、被災を機に高齢化が進んだ地域コミュニティーの再生や1人暮らしの高齢者の見守り、医療費減免の復活のほか、次の災害への備えを求める声が上がった。(熊本地震取材班)

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note