鹿児島・川内原発差し止め認めず 地震や噴火リスク退け、原告控訴


九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は地震や噴火により事故の可能性があるとして、住民ら約3千人が九電と国に対し、運転差し止めを求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は21日、九電への請求は棄却、国への請求は却下した。地震や噴火、テロなどによって、放射性物質が大量に放出される事故が起きる具体的な危険性は認められないとの判断を示した。
原告側は同日、控訴の方針を示した。
窪田俊秀裁判長は判決理由で、原子力規制委員会が策定した新規制基準の基準地震動に関し「不合理な点があるとは認められない」と指摘。九電の安全性評価は基準に沿うと評価した。
原告側は桜島や周辺の火山が、破局的噴火を起こすリスクがあると主張したが、判決は現在の火山学の知見に基づけば「発生可能性が十分小さいと判断することが不合理とはいえない」とした。
テロや武力攻撃に対しても事業者に課された基準に従っており、安全性を欠いているとはいえないとして人格権侵害の訴えを退けた。生存権侵害については、具体的な権利として認められず、理由がないとした。