おれんじ鉄道の橋、改修着工できず 地元漁協理事が漁業権と無関係な対応 鹿児島県・出水市が是正勧告

第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」(八代市)が管理する鹿児島県出水市の築100年を超える橋の補修が、地元漁協理事による徹夜での叱責[しっせき]など漁業権と関係ない理由で停滞し、3年間着工できていないことが19日、分かった。同社は「重大な事故を招く恐れがある」として出水市に事態打開を要望。市は18日、漁協に是正勧告するための議案を市議会に提案し、賛成多数で可決された。
同社などによると、橋は米之津川に架かる広瀬川橋りょう(全長180メートル)。1923(大正12)年の完成で、腐食や劣化があり、同社は2021年10月、補修工事契約を締結。同15日、米之津川の漁業権を持つ広瀬川漁協の男性理事に工事内容を説明した。
ところが男性理事は同日午後4時ごろ、出水市の同社事務所を訪れ、工事会社の選定方法など漁業権と関係ない理由で古森美津代社長(64)らを叱責。古森社長らは食事もできず、翌朝6時まで14時間「拘束」される状況だったという。
結局、同社は男性理事の理解を得られず工事契約を解除した。男性理事は昨年9月にも同社に「時刻表に会社運輸部の連絡先の標記がない」などとして協議を受け付けないと発言。同社は安全確保に影響が出ると判断し、出水市に協力を要望した。
市議会が可決した是正勧告に関する議案は、地方自治法に基づき自治体の長が公共的団体を指揮監督する措置「総合調整権」で、強制力はない。市は近く同漁協に、男性理事の解任も含めた抜本的な組織改善を求める文書を発出。漁協を監督する鹿児島県にも指導を要請する。
肥薩おれんじ鉄道の古森社長は「一刻も早く補修ができるようにしてほしい」。広瀬川漁協の内木場司組合長(74)は「議会の詳細な内容が分からないので、コメントできない」と話している。(河内正一郎、久保田尚之)
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熊本市出身。早回しの歌に乗せた形態模写やデフォルメの効いた顔まねでデビューして45年。声帯模写も身に付けてコンサートや座長公演、ドラマなど活躍の場は限りなく、「五木ロボ」といった唯一無二の芸を世に送り続ける“ものまね界のレジェンド”です。その芸の奥義と半生を「ものまね道」と題して語ります。