任意捜査取り調べも可視化へ 検事総長、不適正指摘で対象拡大

畝本直美検事総長は19日、全国の高検や地検のトップらが集まる検察長官会同で「一定の在宅事件の容疑者に対する取り調べの録音・録画(可視化)を試行したい」と訓示した。不適正な取り調べの相次ぐ発覚を受け、対象を任意捜査にも拡大する。現在法的に義務づけられているのは、特捜部などの独自事件と裁判員裁判対象事件で逮捕、勾留した場合だけだった。
畝本氏は訓示で、取り調べの在り方がさまざまな批判を受けているとして「深く憂慮すべきことだ。不適正な権限行使は許されるものではない」と指摘し、各検察庁で適正確保に取り組むよう呼びかけた。その上で、在宅事件での可視化も適正確保の一環だとした。
検察では、2009年の裁判員裁判導入を前に一部で可視化を導入したが、翌年発覚の大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽事件を受けた制度改革で対象を拡大。19年施行の改正刑事訴訟法で、裁判員事件と独自事件で逮捕後の取り調べ全過程の可視化が義務付けられた。
対象外の事件でも身柄を拘束する場合は大半で可視化しているが、任意では限定的とされていた。