【熊日30キロロード】「絶対の自信がある」…残り300メートル、渾身のスパート 巧みな駆け引き、読みも的中 悲願の地元Vを飾った青学大の鶴川(九州学院高出)

熊本日日新聞 2025年2月16日 18:20
熊日30キロロードレースのフィニッシュ直前、スパートを仕掛け、米満怜(左、コニカミノルタ)を振り切る鶴川正也(青学大)=熊本市中央区(石本智)
熊日30キロロードレースのフィニッシュ直前、スパートを仕掛け、米満怜(左、コニカミノルタ)を振り切る鶴川正也(青学大)=熊本市中央区(石本智)
熊日30キロロードレースで優勝し、インタビューに答える鶴川正也選手(青学大)=16日午前、熊本市中央区のびぷれす広場(後藤仁孝)
熊日30キロロードレースで優勝し、インタビューに答える鶴川正也選手(青学大)=16日午前、熊本市中央区のびぷれす広場(後藤仁孝)

 残り300メートル。鶴川正也(青学大、九州学院高出)は渾身(こんしん)の力でギアを上げた。「絶対に自信がある」というラストスパート。一騎打ちで並走していた米満怜(コニカミノルタ)をみるみる突き放し、両手を広げて笑顔でフィニッシュテープを切った。

 「地元で勝ちたい」とタイムより勝負にこだわった。有力選手がけん制し合うスローペース。15キロ手前、鶴川は11人いた先頭集団のライバルたちの様子をうかがった。中でも2020年の箱根駅伝で1区区間賞の米満に照準を定めた。「箱根駅伝で見せたあのロングスパートに警戒した」

 その読みが的中した。集団が5人に絞られていた24キロ過ぎ。先に仕掛けた米満に、鶴川だけが反応した。「スパート力がある自分を引き離せない展開を嫌がるはずだ」。ピタリと背後について勝負どころを探った。

熊日の伊豆信太郎社長(左)から月桂樹の冠を受ける鶴川正也選手(青学大)=16日午前、熊本市中央区のびぷれす広場(後藤仁孝)
熊日の伊豆信太郎社長(左)から月桂樹の冠を受ける鶴川正也選手(青学大)=16日午前、熊本市中央区のびぷれす広場(後藤仁孝)

 残り1キロを切って、鶴川は何度ものぞき込むように隣の米満の顔を見た。スパートの合図と見せかけた揺さぶりだった。ベテランのように巧みな駆け引き。最後の仕上げも完璧だった。「自分の余裕を見せつけ、精神的に相手を追い込む走りができた」とうなずいた。

 9日の郡市対抗熊日駅伝で天草路を快走し、最優秀選手に選ばれた。その翌日から大分市のチーム合宿に参加し、ロード練習をみっちり積んだ。「初めての30キロでも、全く不安はなかった」。余力を残したスタミナに、成長の跡がうかがえた。(宮﨑達也)

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