【熊日30キロロード】「絶対の自信がある」…残り300メートル、渾身のスパート 巧みな駆け引き、読みも的中 悲願の地元Vを飾った青学大の鶴川(九州学院高出)


残り300メートル。鶴川正也(青学大、九州学院高出)は渾身(こんしん)の力でギアを上げた。「絶対に自信がある」というラストスパート。一騎打ちで並走していた米満怜(コニカミノルタ)をみるみる突き放し、両手を広げて笑顔でフィニッシュテープを切った。
「地元で勝ちたい」とタイムより勝負にこだわった。有力選手がけん制し合うスローペース。15キロ手前、鶴川は11人いた先頭集団のライバルたちの様子をうかがった。中でも2020年の箱根駅伝で1区区間賞の米満に照準を定めた。「箱根駅伝で見せたあのロングスパートに警戒した」
その読みが的中した。集団が5人に絞られていた24キロ過ぎ。先に仕掛けた米満に、鶴川だけが反応した。「スパート力がある自分を引き離せない展開を嫌がるはずだ」。ピタリと背後について勝負どころを探った。

残り1キロを切って、鶴川は何度ものぞき込むように隣の米満の顔を見た。スパートの合図と見せかけた揺さぶりだった。ベテランのように巧みな駆け引き。最後の仕上げも完璧だった。「自分の余裕を見せつけ、精神的に相手を追い込む走りができた」とうなずいた。
9日の郡市対抗熊日駅伝で天草路を快走し、最優秀選手に選ばれた。その翌日から大分市のチーム合宿に参加し、ロード練習をみっちり積んだ。「初めての30キロでも、全く不安はなかった」。余力を残したスタミナに、成長の跡がうかがえた。(宮﨑達也)
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熊本市出身。早回しの歌に乗せた形態模写やデフォルメの効いた顔まねでデビューして45年。声帯模写も身に付けてコンサートや座長公演、ドラマなど活躍の場は限りなく、「五木ロボ」といった唯一無二の芸を世に送り続ける“ものまね界のレジェンド”です。その芸の奥義と半生を「ものまね道」と題して語ります。