雁回山登山道「城南コース」復旧へ 熊本地震で斜面崩壊 今秋「くまもと花博」会場に 熊本市南区
熊本、宇土、宇城の3市にまたがる市街地近郊の山で、地域のシンボル的存在として親しまれている雁回山。熊本市は本年度、2016年の熊本地震から通行止めが続く登山道「城南コース」の復旧に着手した。今秋の「くまもと花博」では「まち山エリア」会場となることが決まっており、市は「復旧を機に雁回山の良さを多くの人に知ってほしい」としている。
「このがけ崩れ跡は岩盤が露出しているので、登山道の確保には岩盤を削る必要がありますね」
7月19日午前、木立に囲まれた南区の雁回山城南コース。熊本県森林組合連合会の芹口明森林整備推進部長(54)が、登山道の復旧方法を市職員と相談していた。この日は着工前の現場確認。芹口さんと市職員ら4人が通行禁止中のコースで、道をふさぐ倒木や竹の処理、老朽化した橋の架け替え、危険な場所の掲示方法などを話し合った。
「木原山」とも呼ばれる雁回山。その昔、木原山周辺に居を構えた源為朝が弓の名手で、山を通る雁[がん]を次々と射落としていたため、雁が山を避けて飛ぶようになったことが名前の由来とされる。標高314メートル、東西方向に延びる尾根が特徴的で、管理用も含め八つの登山道がある。山頂近くの第1展望所では、360度のパノラマを楽しめる。
熊本市花とみどり協働課によると、城南コースは登り口から第1展望所まで2・9キロ(所要時間65分)。熊本地震では斜面が崩壊し、コースの一部が埋まった。崩れた斜面の表層が不安定だったため通行禁止を続けてきたが、斜面の状態が落ち着いてきたことに加え、地域からも復旧を望む声が上がっていた。
市は、本年度当初予算に城南コースの復旧整備費590万円を計上。道幅を1メートル確保し、崩れた場所や、雨水の流れ込みによる崩壊部分を復旧する。滑落の恐れがある場所にはロープを張って危険防止を呼びかけ、古くなった道案内の看板も新調する。
10月6日には、復旧と開通を祝うイベントを開催予定。小中学生ら地元住民がコースを清掃しながら登り、19日に開幕する「くまもと花博」に花を添える。期間中は、木製遊具を設置する「木育広場」、自然観察会、トレッキングツアーも計画。間伐材を活用したアートイベントの会場としても活用する。
市花とみどり協働課は「雁回山に登れることを知らない人も多い。コース復旧と花博を機に足を運び、身近な自然の良さを体感してほしい」としている。(九重陽平)
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