「内密出産」9例目公表 熊本市の慈恵病院 初の帝王切開

熊本日日新聞 | 2023年3月16日 19:30

9例目の「内密出産」について説明する慈恵病院の蓮田健院長(右)=16日、熊本市西区

 独自の「内密出産」に取り組む熊本市西区の慈恵病院は16日、東日本の成人女性が1月に帝王切開で内密出産をしたと発表した。9例目で、帝王切開の事例は初めて。

 病院によると、女性は昨年11月に電話で相談し、内密出産を希望。「親に知られるのが怖く、一度も病院に行っていない。パートナーとは連絡が取れなくなった」などと訴え、困窮妊婦を保護する同病院の「エンゼルルーム」に入った。

 分娩[ぶんべん]時に赤ちゃんの心拍が下がるなどしたため、帝王切開で出産。女性の意思を尊重し、本人の同意のみで手術に踏み切ったという。蓮田健院長は会見で「帝王切開は通常、家族の同意を得るが、母子の安全を優先した」と述べた。

 母子は既に退院。子どもは熊本市児童相談所(児相)が保護した。女性は入院中、新生児相談室の蓮田真琴室長にマイナンバーカードのコピーなど身元が分かる資料を渡した。しかし、退院後に市児相に身元を明かし、子どもを育てる意向を示しているという。

 同病院は内密出産を「出産直後に匿名を希望すると確認された人」と定義しており、今回のケースも該当するとしている。(清島理紗)

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