豪雨被災の肥薩線維持、年4億円超の地元負担 上下分離方式導入で熊本県推計

熊本日日新聞 | 2022年6月7日 00:00

不通が続くJR肥薩線の線路=2021年6月、八代市坂本町(元村彩)

 2020年7月豪雨で被災したJR肥薩線の復旧後の維持に向け、鉄道の運行と所有・管理の主体を分ける「上下分離方式」を導入した場合、熊本県八代─人吉間の維持に必要な地元負担額を県が概算で年4億4千万円と見込んでいることが6日、分かった。財政力が脆弱[ぜいじゃく]な自治体も多く、県と地元12市町村は同日、人吉市で開いた再生協議会で、国に財政支援を求める方針で一致した。

 関係者によると、JR九州が公表した被災前の19年度の八代─人吉間の営業費用8億7300万円をベースに試算。JRが同区間で持つ駅舎や線路といった資産内容も踏まえ「概算で地元負担額は約半分になる」とはじいたという。

 八代─人吉間の19年度の営業収益は2億5200万円で、営業損失(赤字)は6億2100万円。上下分離方式が実現すれば鉄道の所有・管理を担う自治体の手出しによって、JRの収支は大きく改善する。

 肥薩線は県内全区間を含む86・8キロで不通が続く。復旧が実現しても51・8キロの八代─人吉間だけで施設整備費や維持管理費に関する地元負担が年4億4千万円かかることに対し、自治体の首長らは「上下分離には国の財政支援が欠かせない」と確認。鉄道再開後の運行経費に対する支援制度の創設も含め、6月中をめどに国に要望することを申し合わせた。

 非公開であった会合後、会長の田嶋徹副知事は「地元が肥薩線を支えられる環境を整えるためにも国の新たな財政支援が必要だ」と述べた。

 この日の協議会では、肥薩線の復旧費約235億円のJR側の負担軽減策についても報告。赤字路線を国と地元自治体が支援する国の補助制度も活用して上下分離方式を導入するなどすれば、負担額を最大9割減の25億円まで抑えられるとした。(内田裕之、川野千尋)

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