不自然なカーブ、その先は? 川がないのに鉄道橋も JR熊本駅北側
熊本日日新聞 | 2022年4月29日 08:30

JR熊本駅北側の九州新幹線と在来線の高架下に、何かを避けるように不自然な急カーブや直角カーブを描く市道がある。「お墓っぽいのが立っているのですが、そこが関係しているのでしょうか」。「SNSこちら編集局」(S編)に届いたメッセージを元に現地を訪ねると珍しい風景が広がっていた。
場所は駅から北へ約700メートルの熊本市中央区横手2丁目。高架の脚の間を縫うように市道が折れ曲がり、たんこぶみたいに一部だけが高架の東側に顔を出している。フェンスで囲まれていて中に入ることはできないが、北岡自然公園側にある墓のようなものを避けているようにも見える。以前はたしか真っすぐの道路だったような…。
メッセージを寄せたのは熊本市中央区の会社役員小出由貴子さん(52)。「ずっと曲がったままの道路ではないだろうとは思っていますが、通るたびに気になって」
熊本市文化財課と市街地整備課に取材すると奇妙な風景の理由が見えてきた。

一帯は江戸時代の熊本藩主、細川家の墓所の妙解寺[みょうげじ]跡で、1995年に国史跡に指定された。墓のようなものは妙解寺の子院、宝光院の院主のまさにお墓。隣には経典を納める経蔵[きょうぞう]の跡もあり、水堀で囲まれた国内でも珍しい造りだった。
もともとあった直線道路については「実はあれが高架化工事に伴う仮設道路でした」。史跡内のため掘削はせず、土のうと山砂にシートを敷いて史跡を傷つけないようにして設けた道路で、墓石も一時的に“避難”させていたという。
鉄道・運輸機構九州新幹線建設局が記した『九州新幹線工事誌』には「文化財用地内に8年を超える長期間の仮設道路が必要であり、文化庁との協議は難航した」とある。長期間、直線の仮設道路があったことから、2019年に完成した現在の曲がりくねった道の方が仮設のように感じてしまうのかもしれない。
史跡内には恒久的な構造物は設けられない。高架の脚も建てられないため、周辺では約20メートルおきに並ぶ橋脚が、ここだけ約70メートル離れている。川が流れているわけでもないのに高架がアーチ形の鉄道橋「北岡公園架道橋」になっているのは、間隔が開いた分の荷重を支えるためだ。
曲がりくねった市道の見通しは決して良くないが、文化財課の松永直輝さん(32)は「カーブやアーチ橋があるのは史跡が守られた証しでもあります」。歴史に思いを巡らせながら、ゆっくり進むのもアリかもしれない。(立石真一)

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