学童現場から〝SOS〟 慢性的人手不足にコロナ追い打ち ベテラン支援員「本当は辞めたい」
熊本日日新聞 | 2022年4月21日 06:25

働く保護者にとって頼りになるのが放課後や長期休暇時に子どもを預かってくれる学童保育(児童育成クラブ)だが、現場は慢性的な人手不足に悩み、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけているという。10年以上のキャリアがあるベテラン支援員が「SNSこちら編集局」(S編)に〝SOS〟の声を寄せた。
熊本市中央区の白山小児童育成クラブで支援員を務める林田利香さん(58)。新学期が間近に迫った4月上旬にクラブを訪ねると、休む間もなく働く支援員の姿が見られた。
午前10時、静かにテレビを見る約50人の児童を4人の支援員が見守っていた。自由時間になった途端、児童たちはにぎやかになり、屋内外で遊び始めた。けがをした児童の手当て、もめ事の仲介、保護者からの電話対応…。支援員は慌ただしく動き回り、用件が済むとすぐに持ち場に戻って見守る。
ただでさえ多忙な業務にコロナ禍が拍車をかけた。感染「第6波」では子どもの感染が増えたことで、陽性が確認された児童の行動調査や保護者や学校、市への報告業務が大きな負担になった。同じ内容の報告をそれぞれの機関にする必要があり、複数の陽性者が出るとその対応だけで手いっぱいだと言う。
日々の検温や消毒にも時間を割く必要がある。林田さんは「新年度前に負担が増したのは想定外だった。神経を使う日が続き、気が休まらない」と話す。
熊本市青少年教育課によると、市営の児童育成クラブは80カ所。2013年度に月平均で4460人だった利用児童数は、熊本地震があった16年度には5500人を超え、以降は高止まりが続いている。支援員の数も13年度の482人から21年度には528人と50人近く増えたが、現場からは人数不足を訴える声が上がり続けているという。
特に夏休みは預けられる児童の数も多く、支援員の労働時間も伸びる。市は臨時支援員も活用しており、21年度は121人が働いたが、人員確保は各クラブで働く支援員の人脈頼みの部分がある。
主任支援員として勤務表の作成を担当する林田さんにも人手不足の実感は強い。白山小児童育成クラブは児童108人に対し支援員は8人。厚生労働省の基準を満たすが、支援員の休みも考慮しながら学校の予定に合わせて複雑な勤務体系を組む必要がある。加えて同クラブの支援員の平均年齢は63歳。「1人退職したら全員が毎日出勤しないと回らない」と林田さん。
「本当は辞めてゆっくりしたいのだけれど…」と本音も漏れる林田さんだが、子どもたちのことを考えて今日も現場に立つ。(岡本遼)

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