「客足戻るのか…」営業再開も不安ぬぐえず 衆院選に継続支援求める声

熊本日日新聞 | 2021年10月18日 23:11

約2カ月ぶりに店を開け、感染対策のビニールカーテン越しに笑顔で接客する寺岡明美さん(右)=15日、熊本市中央区

 熊本県内の飲食店は、新型コロナウイルスの感染が広がるたびに営業時間短縮や酒類提供停止を求められ、休業を余儀なくされるなどの痛手を負った。感染拡大「第5波」に伴う時短要請は解除されたものの、「客足は戻るのだろうか」と経営者らの不安は尽きない。

 「やっとお客さんを迎えることができた」。熊本市中央区下通のスナック「メゾン・ド・テラオカ」を一人で切り盛りする寺岡明美さん(57)は15日、約2カ月ぶりの営業再開に笑顔を見せた。

 店を持って26年。昨年4月以降、繰り返される時短などの要請に全て応じてきた。売り上げはコロナ前に比べて8割減。県の協力金が頼みの綱だ。感染対策を徹底した「認証店」として席数を半減させており、「客足や売り上げの回復にはまだ数年かかるかもしれない」と不安を隠さない。

 飲食店の利用や飲み会が「不要不急」と扱われたことにショックを受けた。「人間らしさを保つためには、こうした場が必要」。信念を胸に、飲食店への継続的な支援を求める。

 県経済は、熊本地震の復興需要が縮小するタイミングでコロナ禍に見舞われた。東京経済熊本支社のまとめでは、2021年上半期(1~6月)に倒産した県内企業は飲食などのサービス業を含め13件。コロナ関連の金融支援策が奏功し、1966年の統計開始後2番目に少なかった。しかし、倒産に至らないまでも経営悪化で廃業を選択する事業所は少なくないという。

 実際、繁華街の活力低下は深刻だ。商業店舗の管理を手掛ける美創(熊本市)によると、中央区下通では20年3月から今年9月にかけて飲食店のテナント205軒が退居した。

 上通アーケード沿いで居酒屋「もっとも」を10年営む長野義さん(44)は「夜の人通りがこれほど少ないのは初めて。娯楽がお酒以外に変わってきている」と客足回復に不安を抱く。売り上げはコロナ前の10分の1に激減。「ワクチン接種の進展を踏まえて行動制限を緩め、人の流れを戻してほしい」と訴える。

 熊本城そばの日本料理店「城見櫓[やぐら]」は、熊本地震で被災した店舗を再建し4月にオープンしたものの、今は予約が入った日しか営業できずにいる。客層の柱の観光客が戻らず、売り上げは目標の1割にも届かない。林祥増社長(58)は、政府の観光支援事業「Go To トラベル」再開に期待を寄せ、「街全体を活気づけるため、店に等しく恩恵が行き渡るようにしてほしい」と望む。
 明るい兆しもある。美創によると今年9月の下通への入居は10軒で、19年と20年の同月よりそれぞれ7軒多かった。条件の良い物件が空く好機とみて、店舗数の拡大を図る飲食店も目立つという。

 各政党は衆院選公約で、ワクチン接種証明の活用や消費減税といった消費喚起策をうたう。美創の田中芳和社長(58)は「事業継続支援と同時に、出店経費に対する補助など地域経済の再生を後押しする施策を期待したい」と語る。(中原功一朗、清水咲彩)

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