門出の挙式、コロナ禍に揺れる決断 延期、中止、決行…ライフプランに影響も

熊本日日新聞 | 2021年10月13日 22:10

2人の地元、玉名市でフォトウエディングをした東魁光さん、寛子さん夫妻(撮影した「スタジオアルディ」提供)

 昨年9月、福岡県の東魁光[かいこう]さん(29)、寛子さん(30)夫妻は2人の地元玉名市の田んぼ道で、フォトウエディングに臨んだ。新型コロナウイルスの収束が見通せず、招待状の発送直前に泣く泣く中止を判断。代わりとなる“晴れの日”だ。

 今後の妊活も考慮して下した苦渋の決断。しかし、撮影当日に両家の親族が見せた自然な表情が、今でも目に焼きついているという。「通り掛かった近所の人が祝福してくれ、改めて地元の良さを感じた。規模は小さくても、幸せをかみしめることができた」。写真は結婚情報誌にも掲載され、2人の宝物となった。

 コロナ禍で人が集まる結婚式が開きにくい中、フォトウエディングの需要が高まっている。堤写真館(熊本市)の和斉芙美香店長(26)は「3年前から問い合わせがあったが、最近は特に増えている。花嫁姿に憧れる女性が主体となって、計画するケースが多い」と話す。

 コロナ禍で結婚式事情は激変した。結婚関連事業を展開するエニマリ(東京)によると、1年間で結婚した女性1486人を対象にした4月の調査で、挙式しなかった人は67%に上った。くまもとブライダル協議会によると、県内では式の相談に訪れたカップルの8割が延期や中止を選択。実施する2割も、ほとんどが規模を縮小したという。

 人生の一大イベントとなる結婚式だが、式の延期はライフプランに関わり、妊娠や出産など女性への影響は特に大きい。昨春入籍した熊本市中央区の木下郁美さん(33)は挙式を見送り。しきたりへのこだわりが強い両親が言う「節目のけじめ」を付けない後ろめたさもあったが、式を諦めてすぐ第1子を授かった。

 「先行き不透明な中で式を延期すれば妊活、出産、マイホーム計画など全てが後ろ倒しになる。初産が遅れる焦りもあった」と木下さん。第1子は現在7カ月となり、さらに今、新たな命も宿っている。「式を中止しなければ、この“2人”には会えなかったかもしれない。決断は間違っていなかった」と振り返る。

 一方で、挙式にこだわるカップルも。佐賀県と鹿児島県の遠距離恋愛を実らせ、6月に入籍した石橋良介さん(26)、美月さん(25)夫妻はコロナの収束を見据えて、来年秋以降の式を計画する。式は2人の地元が近い福岡で予定し、「お世話になった人たちに感謝の気持ちを伝える場。華やかな雰囲気で祝ってもらいたい」と声を弾ませる。

 式場側も多様化するニーズに応えるため、妊娠中でも安心できる「マタニティー婚」やコロナ収束後に子どもを同伴する「ファミリー婚」など、プランの幅を広げている。

 くまもとブライダル協議会の守田邦宏会長(45)は「以前は両家の親が主催者となるのが主流だったが、自分たちで参列者を招くスタイルが定着し、本人の意向が反映されやすくなった」と話す。

 延期か、中止か、決行か。カップルの「門出」は揺れ動く。(岡本遼、河北希)

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