「益城の復興もっと携わりたい」 応援入りの男性3人、町職員に転身 熊本地震 

熊本日日新聞 | 2021年10月14日 10:00

仮設庁舎の前で復興について語る(左から)総務課の戸上雄太郎さん、産業振興課の大沼健太郎さん、街路課の大塚保成さん=11日、益城町

 県庁から、大手民間シンクタンクから、埼玉県川越市役所から益城町役場へ-。熊本地震からの復旧・復興を応援するため町に赴いた3人の男性。期限付きだったはずが、前職を辞めて町職員へ転身した。「もっと復興に携わりたい」「ここが好きになった」。さまざまな理由で町のために奔走する。

 ◆熊本県庁から 戸上雄太郎さん

 地震2カ月後に県から派遣された戸上雄太郎さん(33)は、仮設住宅の住民窓口立ち上げや復興計画策定に携わり、2019年4月に県企画課へ戻った。しかし、「復旧・復興も道半ばで、後ろ髪を引かれる思いだった」という。ボランティアで始めた町内の若い世代の声を聞くイベントには、仕事の合間を縫ってたびたび顔を出した。

 「新庁舎整備など、こんなにいくつもの事業が同時並行で進むことは普通はない。行政職員としての魅力を感じた」と戸上さん。10年間勤めた県の同僚や上司にも温かく送りだしてもらい、今年4月から町職員として戻ってきた。総務課町長公室で、部署を横断する課題の解決に向けた調整などを担っている。

 「町の復興を進めることが前の職場への恩返しになる。最初は家族にも反対されたが、もう理解してくれていると思う」と言い、仕事に打ち込む。

 ◆民間シンクタンクから 大沼健太郎さん

 大手民間シンクタンクの野村総合研究所(東京)に勤めていた大沼健太郎さん(43)は地震直後、会社の社会貢献活動の一環で益城町に入った。そこから約3年9カ月にわたり、平日は熊本、週末は出身地の東京という暮らしが続いた。「あくまで出張だったが、次第に友人が増え、飲みに行ったりするうちに週末も熊本で過ごす時間が増えた」という。

 大沼さんも復興計画策定に携わったことで、計画で描いた町の10年後が気になったという。「東京に戻って10年後に町を訪れた時、ゲストとして扱われるのを想像すると何か嫌だった。転職の一番のきっかけは、熊本を好きになったこと」と話す。現在は産業振興課の商工観光係長として、にぎわいづくりを仕掛ける。

 ◆川越市役所から 大塚保成さん
 
 川越市職員だった大塚保成さん(31)は16年10月から半年間、志願して益城町に派遣された。きっかけは大学時代に発生した東日本大震災。「災害ボランティアに行くか迷ったが、公務員試験が直前に迫っていて学業を優先した。それがずっと心に引っ掛かっていた」と振り返る。

 任期を終えて川越市に戻っても年に数回、益城町に足を延ばした。そこで都市計画の話を聞き「復旧だけでなく復興にも携わりたいと思った。あとは深く考えず、自分の気持ちに正直に判断しただけ」と照れ笑いする。街路課に配属されると、都市計画道路の整備に向け、住民への説明や用地買収に汗を流す毎日だ。

  ◇◇◇  ◇◇◇
  
 町には地震後、中長期の応援職員が約300人入った。西村博則町長は「前職を辞めてまで、ここで働きたいと思ってくれたことがうれしく、頼もしかった。周りの職員の刺激にもなっている」と話す。3人は仮設庁舎の前で口をそろえた。「まだまだ復興の途上。だからこそ、町がより良く変わっていけるようにしたい」(立石真一)

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