移住促進へ空き家求む 南阿蘇村、希望者357世帯が待機中

熊本日日新聞 | 2021年08月23日 13:42

移住希望者が年々増加している南阿蘇村。村内には数多くの空き家が埋もれているという=同村(小型無人機で撮影)

 2016年の熊本地震で減少した人口の回復を目指す南阿蘇村は8月から、村内に空き家を持つ村民らを対象に、相続などに関するセミナーを始めた。年々増加する移住希望者に対し、村が運営する空き家バンクの登録物件は大幅に不足。セミナーを機に、移住希望者のニーズに合った物件の掘り起こしを進める。

 地震直前の16年3月末に1万1619人だった村人口は、21年7月末に1万344人と約1割減った。村は役場敷地内に空き家バンクの運営などを担う「南GO‼Station(なんごうステーション)」を開設するなど、移住者獲得に力を注いでいる。

 村定住促進課によると、移住希望者は毎月新規申し込みが続き、右肩上がりで増加。現在は357世帯773人(18日時点)が待機中だ。一方、バンクへの登録は少なく、売買や賃貸可能な物件はわずか26軒(同)。物件確保が喫緊の課題となっている。

 「村内を見て回ると、埋もれている空き家が多い」と、バンク担当で村地域おこし協力隊の中西美由紀さん(52)。同課が昨年度まとめた空き家の調査報告によると、居住できる状態ではない150軒以外に、約170軒ものバンク未登録物件があるという。

移住希望者のニーズに合致した空き家物件掘り起こしを目指して開かれた第1回空き家セミナー=南阿蘇村

 20日に村役場であった第1回セミナーには、村民ら約10人が参加。不動産相続の専門家ら3人が「自宅が負の遺産になれば、相続でトラブルが生じかねない。将来、空き家をどう管理するか、家族で話し合って」などとアドバイスした。

 村内に自宅など2軒を所有する70代の夫婦は「娘2人は既に嫁いでいる。空き家にはしたくないので、売却や賃貸も選択肢に入れ、自分たちが元気なうちに方針を決めたい」と話した。

 しかし、登録物件が増えるだけでは解決できない課題もある。

 移住希望者の多くは集落になじめるかどうかを心配し、まずは賃貸住宅を希望する。しかし、バンクに登録されている26軒のうち、21軒は売買物件。所有者は高齢や村外在住を理由に、維持や管理の責任を伴う賃貸を避ける傾向が強いという。

 さらに、物件の多くは築20年以上にもかかわらず、所有者が定める売買価格は平均約1400万円、賃貸料も同約6万円と相場より高め。「移住者のニーズに合致する物件が極端に少なく、なかなか契約までこぎ着けられない」と中西さん。移住者の希望とミスマッチとなっている現状を所有者に理解してもらい、賃貸物件増につなげるのが目標だ。

 セミナーは、9月24日に白水地区、10月16日に久木野地区でも開催予定。同課は「誰かが住むことで空き家は負の遺産とならず、息を吹き返す。移住者が根付き、次世代の村民を増やすためにもバンクを活用してほしい」と呼び掛けている。(上杉勇太)

記事アクセスランキング

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note