聖火に復興への希望重ねて 熊本県内の地震、豪雨被災地

熊本日日新聞 | 2021年05月07日 10:00

球磨川に架かる水の手橋で、川上誠一さん(手前右)に聖火を引き継ぐ松永秀則さん(同左)=5日午前10時10分ごろ、人吉市(後藤仁孝)
聖火リレーで新阿蘇大橋を渡るスポンサーなどの車列。奥は立野方面=6日午前11時15分ごろ、南阿蘇村(高見伸)

 東京五輪の聖火リレーが5~6日、57年ぶりに熊本県内を駆けた。熊本地震、昨年7月豪雨の被災地では、ランナーと沿道の住民らが復興への希望を重ねた。新型コロナウイルス感染拡大を受け、熊本市では公道でのリレーを見送った。一部区間では、聖火を一目見ようと住民が集まる場面も。元五輪選手は五輪開催の意義を語り、スポーツの発展を願って聖火をつないだ。

 「聖火が人吉の希望の光になれば」。5日、人吉市の堺大誉[ひろたか]さん(31)は住民らを自前のボートで救助した昨年7月の豪雨を思い出しながら、聖火を掲げて地元のコースを駆け抜けた。元カヌー日本代表として五輪を目指し、現在はラフティング会社を経営。「一日も早く元の姿に戻ればいい」と球磨川への愛着も語った。

 県内の聖火リレーの皮切りとなった人吉市。雨にもかかわらず、市中心部の九日町通りでは多くの市民が傘を差して走者に手を振った。経営する呉服店が被災し、昨年12月に営業再開した松枝美千代さん(61)は趣味のアコーディオンで応援。「復興に向けて前進している人吉の今を全国の人に見てもらえた」と喜んだ。

 2016年の熊本地震で2度の震度7に襲われた益城町を聖火が巡ったのは6日。地元の自営業、田崎眞一さん(59)は「助けてくれて、ありがとう!」と叫びながら駆けだした。自宅がある東無田地区は約120戸の7割が全半壊。住民の共助やボランティアの支援で復興が進み、走り終えると「益城町は元気だぞー」と青空に右手を突き上げた。

 益城町で唯一の写真館を営む林眞二さん(62)は「店の前を聖火が通り、100枚くらい写真を撮った」と興奮。ただ、リレーの最中に最大震度4の地震が県内で発生し、「地震は、いつ起きるか分からない」と表情をこわばらせた。

 同様に熊本地震の被害が大きかった南阿蘇村は、被災したインフラの多くがこの1年間で復旧。聖火は6日、昨年10月に開通した国道57号や、今年3月に完成した新阿蘇大橋を通過した。

 学生3人が地震の犠牲になった東海大農学部のOBを含む学生グループは、新阿蘇大橋を快走。熊本市の永野智大[ともひろ]さん(23)は「どんどん復興に向かっている。これからも阿蘇を盛り上げられるような活動をしたい」と決意を新たにした。

 南阿蘇村立野の自宅が全壊し、現地で再建した中村美知子さん(65)は「久しぶりに立野ににぎわいが戻った」と笑顔で応援。地元でまんじゅう店を営む高瀬大輔さん(48)は「地域の人たちの笑顔を見ながら走ることができて良かった」としつつも、拡大が収まらない新型コロナウイルス感染に触れ、「心の底から喜べない部分もある」と複雑な表情を浮かべた。(聖火リレー取材班)

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