不法投棄…家電、家庭ごみ、船も モラルない行為に対策は

熊本日日新聞 | 2021年05月06日 07:20

天明中央排水機場付近に不法投棄されたごみ=3月16日、熊本市南区
弁当がらなどが捨てられていた空き地に立つ「ごみよけトリー」=4月6日、熊本市北区

 熊本日日新聞の「SNSこちら編集局」(S編)に、「家の近くで不法投棄がなくならず困っている」と切実な声が寄せられた。現場に行ってみると、そこは廃船や家電、生活ごみの山。モラルのかけらもない行為だ。どうしたら不法投棄を減らせるのか。解決策を探った。

 熊本市南区の天明新川沿いの河川敷。道路からすぐの人目に付きやすい場所に、おびただしいごみが散乱していた。S編に声を寄せた男性は「あまりに汚く、夏は臭いもひどい。近くには小学校もあるのに」とため息をついた。

 河川を管理する県県央広域本部によると、10年ほど前からごみが捨てられるようになり常態化した。「年に1、2回ごみを撤去しているが、量が多く対処が追いつかない」と頭を痛めていた。

 不法投棄を減らす対策はないのだろうか。山間部に鳥居のようなものがあると気になり調べたところ、環境保全関連の商品を手掛ける「NEW MATERIAL」(さいたま市)が製作する「ごみよけトリー」に行き着いた。不法投棄に悩む自治体の声を受け、同社は「神様の前で悪いことをする人はいない」と高さ1メートルほどの鳥居を模した商品を開発。2003年に発売し、現在も全国の自治体などに納品している。

 県内でも活用事例がある。熊本市北区の西里校区第14町内豆尾自治会は3年前、空き缶や弁当がらが捨てられた空き地に設置。その後はポイ捨てが減ったという。「神様への畏怖が、捨てようとする人のモラルを高めるのではないか」と松村和行会長(67)。“鳥居”は西里校区だけでなく県内各地に散見される。

 国土交通省仙台河川事務所(仙台市)は9年前、目玉をデザインした看板を河川敷に設置。夜になると光る塗料を使ったところ、不法投棄を大幅に減らす効果があったという。
 同事務所は「誰かに見られているという意識が不法投棄を思いとどまらせている」。しかし、インパクトが強すぎたのか地域住民から「夜に見ると怖い」という声が寄せられ、通常の注意書きの看板に替えたという。

 このほか、群馬県桐生市は不法投棄発見時の情報提供を条例で義務づけ、インセンティブ(動機づけ)も用意。投棄者が判明し、投棄場所の現状が回復した場合には1万円の報償金を支給している。条例施行の2001年度から20年度までに報償金の支給は20件。全て個人という。

 同市の担当者は「不法投棄する人にはネットワークがあり、投棄場所を共有している。情報提供は、そのネットワークを断つのに効果がある」と話した。

 ごみを不法に投棄した場合、廃棄物処理法違反の罪で5年以下の懲役、または1千万円以下の罰金が科せられる。

 ただ、刑罰も必要だが、不法投棄させないよう人の心理に訴えかける対策こそ有効ではないか。ごみの投棄が多かった県道熊本浜線(通称旧浜線)沿いの用水路には20年ほど前、地元自治会などがニシキゴイ数百匹を放流し、ごみの替わりに餌が投げ入れられるようになったという。コイが人の良心を呼び覚ましたようだ。(鬼束実里)

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