熊本地震で被災、地方債急増 益城・南阿蘇・西原3町村15年度比 財政硬直化に懸念 

熊本日日新聞 | 2021年04月16日 11:00

 熊本地震では、被災市町村も熊本県と同様に多額の予算を投じた。被害が甚大だった益城町、南阿蘇村、西原村では地方債残高が2~4倍に急増。国の手厚い支援で「財政状況に大きな悪化は見られない」(県市町村課)ものの、財政の硬直化が進んでおり、専門家からは将来を懸念する声も上がる。

 県がまとめた市町村決算の概要(確報値)によると、2019年度の地方債残高は、益城町が地震前の15年度に比べ3・9倍の388億円に増加。南阿蘇村は2・1倍の205億円、西原村も4・1倍の94億円と、いずれも地震対応に伴う伸びが顕著だった。

 ただ将来、借入金などが財政を圧迫する可能性が高いかどうかを示す「将来負担比率」はそれほど悪化していない。益城町は15年度比で18・5ポイント増の32・2%、南阿蘇村は13ポイント増の24・7%、西原村は貯金に当たる財政調整基金などが実質的な負担額を上回り、15年度と同様に数値なしの状況だ。

 いずれも早期健全化基準(350%以上)には程遠く、県市町村課は「地方債の償還に国が交付税で最大95%を措置するので、実質負担が軽くなっている」と説明する。

 一方、懸念されるのが、歳入に対する経常的経費の割合を示す「経常収支比率」だ。19年度は、益城町が15年度比6・0ポイント増の93・7%、南阿蘇村は10・4ポイント増の100・5%、西原村は9・1ポイント増の94・4%と大きく悪化。いずれも地震対応のための職員増による人件費や、公債費の増加などが影響した。

 県立大の小泉和重教授(地方財政論)は「財政の硬直化が進めば新規事業に取り組む余裕がなくなる。全国の類似自治体と比較しても益城町や南阿蘇村の職員数はかなり多く、今後いかに抑制するかが課題だ」と指摘。復旧したインフラの維持管理費など新たな支出の発生も見据え「人口減も踏まえた慎重な財政運営が欠かせない」と訴える。(内田裕之)

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