「困っている人の力に」 理学療法士合格の22歳男性 熊本地震避難所での支援活動、自信に

熊本日日新聞 | 2021年04月12日 10:41

熊本地震をきっかけに目指した理学療法士の試験に合格した甲斐原有輝さん。「明るい言葉をかけられる理学療法士になりたい」と前を見据える=8日、熊本市東区
熊本地震で避難していた東稜高で被災者の支援に奔走する甲斐原有輝さん(左から2人目)=2016年4月、熊本市東区

 熊本地震の避難所となった東稜高(熊本市東区)で被災者の支援に当たっていた同校の男子生徒が今春、専門学校を経て理学療法士の試験に合格した。避難所でのボランティアを機に「困っている人の力になりたい」と決意した青年は今、夢の実現に向かって新たなステップを踏もうとしている。

 理学療法士に合格したのは東区の甲斐原有輝さん(22)。甲斐原さんは高校3年だった5年前の4月16日、自宅で被災。絶え間ない余震におののき、当時通っていた東稜高に家族5人で避難した。

 体育館にあふれ返る避難者を前に「支援を待つより、自分でできることをやりたい」と動きだした甲斐原さん。避難者が寝泊まりで使う段ボールを職員室に取りに行ったのがきっかけとなり、後には避難所の運営スタッフとして支援物資の運搬や管理、炊き出しの配布などに奔走した。

 当時は教職員や自治会役員が対応に追われており、学校施設に詳しい生徒が重要な役割を担った。校内は窓ガラスの破片が散乱し、足の踏み場もない状況。初めて直面した事態に困惑しながらも、「人のためになれば」と汗を流した。

 支援物資が不足しだすと、SNS(会員制交流サイト)で支援を呼び掛けて食料を調達したことも。届いた米で炊き出しをすると、「若い子たちの頑張りが力になる。ありがとう」と被災者や市の職員から感謝された。

 当時、甲斐原さんら高校生の活躍が本紙で紹介されると、学校再開後は記事が校内の掲示板に張り出され、同級生や先生からも褒められた。たくさんの人から感謝の言葉をかけられ、「人の役に立っている実感があった。新鮮な感覚だった」と振り返る。

 部活動でバドミントンに打ち込んでいた甲斐原さん。けがをした時に理学療法士が親身にリハビリに付き合ってくれ、一緒にけがを乗り越えた経験から憧れを抱いていた。そして、「当たり前の日常が失われた中で、積極的に行動できたことが自信になった。今後も困っている人の力になりたい」と決意を固めた。

 高校卒業後、熊本総合医療リハビリテーション学院(東区)に進学。4年間の実習などを経て今年3月末、国家試験の合格通知が届いた。医療や介護、福祉サービスなどを地域で一体的に提供する「地域包括ケアシステム」に興味を持ち、現在はこのシステムに力を入れる病院を探して就職活動中だ。

 「地震が自分にとっての転機となった。けがで苦しむ人が笑顔になれるよう、退院後の生活まで見据えて、明るい言葉をかけられる理学療法士になりたい」(岡本遼)

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