岸田前首相襲撃、懲役10年 和歌山地裁、殺意を認定

2023年に和歌山市で岸田文雄前首相の演説会場に爆発物を投げ込んだとして、岸田氏らに対する殺人未遂や爆発物取締罰則違反など五つの罪に問われた無職木村隆二被告(25)の裁判員裁判の判決で、和歌山地裁は19日「現職総理大臣を狙ったことは社会全体に与えた不安感が大きい」として懲役10年(求刑懲役15年)を言い渡した。
福島恵子裁判長は判決理由で、人が死亡するかもしれないと認識しながら爆発物を投げ、未必的な殺意があったとし、殺人未遂罪の成立を認定。また爆発物取締罰則、銃刀法、火薬類取締法、公選法にそれぞれ違反した罪も有罪と判断した。
裁判で被告は殺意を否認。選挙制度に不満を持ち、有名な政治家がいるところで注目を浴び、自分の考えを知ってもらおうとしたと動機を説明した。弁護側は殺人未遂と爆発物取締罰則違反の罪は成立せず、けがをした2人への傷害罪にとどまるとして懲役3年が妥当と主張していた。
検察側は、再現実験で爆発物が厚さ9ミリのベニヤ板を貫通し、殺傷能力が認められたとする警察職員の証言などから殺意はあったと指摘した。