地元の門外漢、酒蔵救う 神奈川、コロナ禍から復活
神奈川県秦野市で明治元年に創業され150年余りの歴史を持つ金井酒造店が新型コロナウイルス禍の大打撃から回復を遂げつつある。一役買ったのは、酒造りと縁のなかった地元の若手実業家椎野祐介さん(42)。古い慣習に変化をもたらし「酒蔵は街の宝。地元と共に生きる酒蔵にしたい」と意気込む。
同社は地酒「白笹鼓」を醸造し、大手スーパーなどと手広く取引してきたが、新型コロナ禍で売り上げが激減。生き残りをかけて清酒部門を切り離し、2021年10月に東京のファンドに経営を任せた。一定の再建を果たしたが、その後の引き受け手探しで難航した。
「廃業するか、外資を呼び込むか、地域で続けるか」という3択を迫られる中、市内でレストラン経営などを手がけていた椎野さんが立ち上がった。地元愛が強く、株式を引き受けて取締役会長になった。
ただ、椎野さんが現場に足を運んで驚いた。付き合いの長い取引先が多いため薄利多売の商品が目立ち、完全分業制で従業員の社内連携が取れていない。古い慣習につかり、利益を生まない構造だった。
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