熊本市営墓地で900区画が「無縁墓」に 承継者や縁者と連絡取れず、熊本地震で被害も手付かずのまま
熊本市営墓地では5%に当たる約900区画が、管理する人がいない「無縁墓」になっている。承継者や縁者と連絡を取ろうにも、連絡先が100年近くも前の昭和初期に登録されたままになっている墓も多く、市は対応に苦慮している。
12日、熊本市中央区黒髪の小峯墓地。墓石が崩れた墓や雑草が生い茂っている区画があちこちに点在し、長期間放置されていることがうかがえる。2016年の熊本地震で崩れたまま、手付かずになっている墓も多いようだ。市の担当者は崩れた墓石を見ながら「長い間誰も来ていないのだろう」とつぶやいた。
市健康福祉政策課によると、市内には市営墓地が7カ所あり、それぞれ指定管理者が管理している。総区画数は計1万8191区画。熊本地震では、うち半数超の約9800区画で被害が確認された。
市は19年以降、計60区画の承継者や縁者に対して、区画への看板設置や官報への掲載により適切な管理を求めてきた。しかし市に連絡があったケースは1区画もないという。
連絡がないケースでは、行政が無縁墓を解体撤去する「無縁改葬」という方法もある。ただ、遺骨や墓石の取り扱いを巡って後々、縁者らとトラブルになる恐れもあることから、改葬には慎重にならざるを得ないという。
市の条例では、市営墓地を市に返還する場合は更地にして原状回復する必要がある。費用も発生するため二の足を踏む承継者もいるとみられる。市は無縁墓にならないよう、墓の利用を始める際には承継や市への返還手続きについて丁寧な説明に努めているという。
市健康福祉政策課は「お墓の管理について、前もって家族でしっかりと話し合っておいてほしい」と訴えている。(山下雅文)
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