魚と野菜の同時育成に挑戦 苓北町の天草拓心高「アクアポニックス」研究 水槽とプランター連結、環境に配慮

熊本日日新聞 2024年9月17日 20:34
チョウザメとミニトマトを同時に育てる「アクアポニックス」の研究を始めた天草拓心高のアクアサイエンス部=5日、苓北町
チョウザメとミニトマトを同時に育てる「アクアポニックス」の研究を始めた天草拓心高のアクアサイエンス部=5日、苓北町

 天草拓心高マリン校舎(苓北町)のアクアサイエンス部の生徒が本年度から、淡水魚と野菜を同時に育てる「アクアポニックス」の研究を始めた。水槽のチョウザメと、水耕栽培のミニトマトの育成を両立させる試み。熊本県科学研究物展示会(科学展)での上位入賞を目指している。

 アクアポニックスは、水槽と水耕栽培を配管でつなぎ、魚のふんや食べ残しを肥料の素として野菜に吸収させて、浄化した水を魚の水槽に戻すシステム。環境に優しく、生産コストの低減に役立つとされる。

 5月に始めた研究では、チョウザメ15匹を飼う1・5トンの水槽のろ過装置を軽石などを使って手作りし、ミニトマトの苗4本を育てるプランターと連結。チョウザメの飼育は初めてだったため、生育に適した水質を保つろ過装置のフィルター調整に苦労したという。

「アクアポニックス」で育てるチョウザメにエサを与える副部長の男子生徒(左)ら=5日、苓北町
「アクアポニックス」で育てるチョウザメにエサを与える副部長の男子生徒(左)ら=5日、苓北町

 試行錯誤の結果、当初は2~3日に1回必要だった水槽の水替えを、1~2週間に1回ほどまで低減することができた。ミニトマトは、根が腐らないように水槽からの流入量を調整するなどしたところ、今では当初の5倍ほどまで背丈が伸びた。

 3年の副部長の男子生徒は「生態系のようなシステムで、環境に配慮した養殖モデルになると思う。まずはトマトが実をつけるのが第一の目標」。2年の男子生徒は「初めての研究で分からないことばかりだが、養殖や栽培の大変さを知った」と話す。

 将来的には、卵からふ化した稚魚を育てて卵を産ませる完全養殖を目指すという。アクアポニックスは、10月12日に同校であるマリン祭で展示する。(鬼束実里)

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
熊本の教育・子育て