【S編×まね得】新紙幣の発行で旧紙幣はどうなる? 引き続き流通、入れ替えは金融機関を通じて徐々に トイレットペーパーなどにリサイクルも
熊日のSNSこちら編集局(S編)に熊本市東区の女性公務員(47)から「新紙幣が発行されたが、今までの紙幣はどのように回収され、どこで廃棄されるのかなど流れを知りたい」との声が寄せられた。確かに旧紙幣の行方は気になるところ。熊日のお金の連載「まね得」と「S編」のコラボ企画として、紙幣(日本銀行券)を発行する日銀に取材した。
まず大前提として、旧紙幣も今まで通り世の中で流通し、お金として使える。新紙幣への切り替えは、旧紙幣が日銀の本店や支店に戻ってきたタイミングで行われ、旧紙幣の「廃棄」が徐々に進められる。なので、さまざまな機関を名乗って「旧紙幣は使えなくなるから引き取る」や「古いお札を回収する」などと持ちかけられた時は詐欺だと思った方が良い。
世の中に流通している旧紙幣が日銀に戻ってくる主要なルートは、銀行など市中の金融機関に預金や納税などによって入ってきたお札が「銀行の銀行」でもある日銀に持ち込まれる流れだ。日銀の本店や支店に持ち込まれた旧紙幣は復元できない大きさに細かく裁断され、一部は業者に引き取られて封筒やトイレットペーパー、固形燃料などにリサイクルされる。
ただ、日銀に戻ってきた旧紙幣が全て廃棄されるわけではないという。新紙幣への対応が間に合っていない自販機や券売機もあり、当面は旧紙幣への需要もあるため一部は金融機関を通じて再び世の中に出回る。その際、紙幣が偽造や変造されていないかや、損傷や汚れ具合から流通に不向きでないかなどをチェックする「鑑査[かんさ]」が行われ、お札がえり分けられる。
ではどれくらいの期間で新紙幣への入れ替えは完了するのか? 日銀は「できるだけ多く、できるだけ早く新紙幣が世の中に普及することが望ましいと考えている」としながらも、金融機関に対応を求めたりする計画はなく、具体的な基準も設けていないという。「(現時点で)確たる見通しをお答えすることは困難です」との回答だった。(太路秀紀)
日本銀行券の鑑査 市中に流通していた紙幣が金融機関を通じるなどして日銀の本店や支店に戻ってきた時に、偽造・変造されていないかを鑑定し、併せて損傷や汚れ具合から再度流通に適するかどうかを判別するチェック作業。流通に適さないと判断された紙幣は裁断・廃棄されてリサイクルなどに回る。2023年度に日銀に戻ってきた紙幣は全国で83億3千万枚で、廃棄された量は21億1千万枚。新紙幣発行後も旧紙幣は使えるので、旧紙幣の廃棄は新紙幣への入れ替えが進む中で徐々に行われていく。
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