理系の高校生「生物」の履修減 背景に受験科目ない大学、教科書内容の複雑化【いま、学校は】

熊本日日新聞 2023年10月12日 06:05
生物履修者の減少について危機感を共有したワークショップ。左から東京大の小林武彦教授、﨑村奈央さん、三浦清武教諭=熊本市中央区
生物履修者の減少について危機感を共有したワークショップ。左から東京大の小林武彦教授、﨑村奈央さん、三浦清武教諭=熊本市中央区

 理系の高校生で、生物を履修する生徒が減少している。背景には、一部の大学医学部で2次試験の受験科目に生物がないことや、学習内容の複雑化があるようだ。危機感を抱いた生物学関係者らは9月、熊本市中央区の県民交流館パレアであった日本遺伝学会大会でワークショップを開き、生物を取り巻く課題や学ぶ意義を訴えた。

 「生物学に興味がない人が増えて、大学への進学者が減り、研究者や高校教師も減る。このままだったら『生物』は絶滅する」。生物科学学会連合の前代表で東京大の小林武彦教授(60)は、大学教授や高校教員、教科書会社の関係者ら約50人を前に言い切った。

 理系学部を目指す受験生は、大学入学共通テストで理科②(物理、化学、生物、地学)から2科目を選択することが多い。大学入試センターによると、理科②の延べ受験者の割合は2015年度、化学46・8%、物理34・5%、生物18・2%、地学0・5%。23年度は生物が15・0%に減った一方、物理は37・5%に上昇した。

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