遺族の思い、語り合う場を 熊本地震で次女亡くした母、自助グループ活動続ける 「1人でも多くつながりたい」

熊本日日新聞 | 2023年5月14日 17:49

活動について話し合う(左から)宮﨑さくらさん、澤野典子さん、宮本儀子さん=熊本市北区

 2016年4月、熊本地震の震災関連死で4歳の次女を亡くした宮﨑さくらさん(44)=熊本県合志市=は、突然の事故や病気などで家族を失った子どもたちが思いを語り合う活動を続けている。「何年たっても、残された家族にとっては過去にはならない。同じ気持ちを抱える人と1人でも多くつながりたい」と切望する。

 4月末、熊本市北区の喫茶店。21年から自助グループ「兄弟・姉妹を亡くした子どもと家族の会つむぎ」で一緒に活動する宮本儀子さん(56)=南区=と顔を合わせた。宮本さんは29年前、2歳の長男を予防接種の副反応による急性脳症で亡くし、似た境遇の親たちでつくる「熊本エンジェルの会」を主宰する。

 この日は「チラシはどこに置けば良いだろう」「病院や市役所で紹介してもらえないか」と活動の周知について話し合った。死産や新生児死を経験した女性たちのグループ「みんなの和」代表の澤野典子さん(34)=合志市=にも合流してもらい、2人から「私たち自身が無理せず、会を続けることに意味がある」と助言を受けた。

 次女の花梨ちゃんは重い心臓病で入院していた熊本市民病院で被災し、転院先で亡くなった。わが子を失い「世界から放り出された感覚になった」時、同じ経験を持つ人がつながり、悲しみを癒やす「グリーフケア」の会合に足を運んだ。家庭以外の場で初めて花梨ちゃんについて語り、「話を聞いてくれる場所があるんだ」と気持ちを吐き出せた。

 一方で、自助グループを探す一歩を踏み出すことの難しさも知っている。「周囲の声かけがつらい時期もある。子どもを中心に集まる場も、もっと増えてほしい」と望む。

 宮本さんと「つむぎ」の運営を地道に続ける一方、中学2年の長女とイラストの仕事を始めた。6月17日には宇城市の光照寺である子ども食堂などのイベントで、グリーフケアの周知を兼ねた工作のワークショップを開く。「今でも『なぜ花梨が』と思う。周りには話しづらいことでも、共感し、聞いてもらえる場所があると知ってほしい」(深川杏樹)

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