東日本大震災の教訓、地域防災に生かす 熊本地震被災の益城町で「むすび塾」 熊日・河北新報共催
2011年に発生した東日本大震災の教訓を地域の防災に生かそうと、熊本日日新聞社と河北新報社(仙台市)は23日、16年の熊本地震で被災した益城町で、防災ワークショップ「むすび塾」を開いた。宮城県で震災の記憶の伝承や地域の防災活動に取り組む2人が語り部として講演し、益城町東無田地区の住民らと意見を交わした。
次世代への災害伝承や新旧住民の防災活動がテーマ。町公民館飯野分館で約40人が参加した。
宮城県の「けせんぬま震災伝承ネットワーク」副代表の菅原定志さんは中学校長時代、震災について学んだ生徒が語り部活動を始めたことを紹介。「次世代に災害の教訓を伝える大きな力になっている」と意義を強調した。
仙台市福住町町内会副会長の大内幸子さんは、東日本大震災で自主防災組織が地域住民を支えた事例を説明。「お祭りなど地域の行事を通じて、お年寄りから子どもまで顔が見える関係づくりに普段から取り組んでいたことが減災につながった」と話した。
意見交換には東無田の住民9人と講演した2人、一般社団法人「減災・復興支援機構」(東京都)の宮下加奈専務理事、熊本県立大の柴田祐教授(地域計画)が参加。地域での活動について「楽しみながら防災を学べるイベントを取り入れてはどうか」「自主防災組織をつくるなら、幅広い年代が関わる体制が望ましい」などの意見を出し合った。(後藤幸樹)
◆むすび塾 東北地方で新聞を発行する河北新報社(仙台市)が2011年の東日本大震災の翌年から、主に宮城県内で開いている。震災の教訓を踏まえ、地域住民と専門家や語り部が家庭や地域での備えについて語り合い、防災や減災のアイデアを探る。年1回ほど東北以外の地方でも開いており、熊本開催で通算118回目。名称には地域や人を結ぶという意味を込めている。
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