記事通し、社会に関心を 八代市の3校で「NIE公開セミナー」

12月8日 09:41

「NIEタイム」でお気に入りの新聞記事を選ぶ4年生児童=八代市の郡築小
教育や介護など日本の課題を新聞記事をもとに調べ、ポスターにまとめた八代中の生徒=八代市
科学や教育記事などから「人間とは何か」を考えた現代社会の授業=八代東高

 教材として新聞を活用するNIE(教育に新聞を)の公開セミナーが10~11月、実践指定校である八代市の八代東高、八代中、郡築小の3校で開かれた。県内の教育関係者と新聞・通信9社でつくる県NIE推進協議会の主催で13回目。今年も各校が工夫を凝らした公開授業やシンポジウムを催し、新聞を窓口に児童・生徒の関心を社会に向ける取り組みを探った。(佐藤公亮、魚住有佳)

【郡築小】学年ごとの学習を紹介

 郡築小は「NIEフェスティバル」と銘打ち、学年ごとの学習レベルに合わせた公開授業のほか、カフェやシンポジウムなど幅広い活動を展開した。

 公開授業では週1回朝の15分間で実施する「NIEタイム」を紹介。3年生は、八代市であった全国花火大会の記事をもとに作ったワークシートで内容を読み取る力を培った。4年生は、紙面から児童自身が選んだ「1番ニュース」を披露しあい、コミュニケーション能力の醸成を図った。

 5年生は家庭科でみそ汁の記事を導入に地産地消を学習。地元の祭りで「おすすめのみそ汁の具」を壁新聞で発表することを決めた。6年生はNIE担当の豊田亮平教諭(39)から指導を受け、掲載写真から表現と構成の工夫を学習。記事の見出しを想像したほか、写真から得た児童の「気付き」をもとに、撮影者の込めた意図と背景を探った。

 シンポジウムでは、教師や児童から「図工や生活科の中でも新聞を使えることが分かった」「新聞を身近なものとして感じ、読む機会が増えた」などの声が上がった。

 校内では「カフェ」も開かれ、校区住民らが記事を糸口に歓談。新聞紙を使った工作教室もあった。(開催日は11月24日)

【八代中】問題解決へ対話力養う

 県立八代中は、生徒の「対話力」向上を目的に新聞記事を授業に取り入れている。NIE活動を人材育成の有用な手段と捉え、社会問題を周囲との連携で解決する力を養えると考えているためだ。

 対話力とは、考え方や価値観の違う相手の話を聞き、自分の考えを深め論理的に伝える力。公開授業では、2年生38人が記事をもとに育児・教育・労働・介護の4分野から関心を持ったテーマを絞り、班ごとに現状分析や課題解決への提案をポスターで発表した。

 介護離職を扱った班は、介護休業法の説明に加え「休みを分割して取れるように」「一時的に預けられる場所を作る」などアイデアを提示。過労死に焦点をあてた班は、「理想の死に方とは?」と意表を突く質問や英語表現を交えて、聞く側の気を引いた。

 このほか、男性の育児休業取得率の低さや、子どもの学力と親の年収の関係などを取り上げたグループも。各班が現代の日本の抱える課題を自分たちのこととして考え、発表内容についての想定問答も入念に準備した。

 生徒は公開授業に先立ち、分野別に数百の記事をスクラップ。NIE担当の豊田慎一郎教諭(34)による記事の解説を受けた後、ポスター製作に着手した。計7時間の活動の中で活発に「対話」し、発表テーマや説得力ある意見を仕上げた。

 生徒らは、公開授業後のパネル討論で「普段は気付かない友だちのすごさが分かった」「より良く伝える方法を仲間と考えるのが楽しかった」などと振り返った。(開催日は11月17日)

【八代東高】「人間」多角的に議論

 八代東高は現代社会と生物、国語を新聞記事と絡めて公開授業を進めた。

 「朝は4本足、昼は2本足、夕は3本足の生き物は何?」。3年生の現代社会で、生徒は授業の冒頭に切り出されたなぞなぞの答え「人間」をテーマに多角的に議論した。授業では遺伝子研究や子どもの自由研究を代行するビジネスなどを紹介した記事を読みながら、要点をつかみ、自由に意見を述べ合った。倫理や死生観に触れた記事から「人間とは自分たちの生活を良くするために進化する生き物」などの考えを導き出した。

 同じく3年生の生物では、これまでの授業で学んだ「筋肉」の構造についての知識を、科学記事と照らし合わせて復習。NIE担当の諸熊壽広教諭(54)による1年生の国語総合では、新聞からテーマを見つけて短歌や俳句作りに挑戦。地元の日奈久温泉に滞在した俳人種田山頭火にも目を向けた。(開催日は10月27日)