多角的見方、記事に学ぶ 深い対話を育もう 栃木でNIE全国大会

8月22日 10:00

 教育に新聞を生かす取り組みを考える「NIE全国大会」が1~2日、栃木県宇都宮市で開かれた。日本新聞協会主催で24回目。全国の教育・新聞関係者ら約1100人が参加した。

 スローガンは「深い対話を育むNIE」。来年度から実施される新学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が重視されていることを踏まえた。

 初日は「大村はま記念国語教育の会」事務局長で、作家の苅谷夏子さんの基調講演などがあった。最終日は、栃木県内の小中高校による公開授業と実践発表があった。

 熊本県内から参加した教職員6人の報告を紹介する。(西山美香)

子どもに親しませて 県NIE推進協議会・書川欣也会長

 「主体的に学び合う児童の育成・子どもたちが創るNIE」を研究主題とした宇都宮市立豊郷中央小の実践発表が心に残った。児童会活動の「ニュース委員会」の新聞制作過程における深い対話や縦割り班活動では、意欲がなかった高学年の児童が、低学年の児童たちにお薦めの記事を伝える必要性を感じ、学ぶ意欲が向上したという報告は印象的だった。

 お薦めの記事や商品がネットで配信され、他者に関心がなくなりがちな時代となっている。新聞は古紙回収されるだけでなく、ストックして学校や家庭に配布するなどして、まずは子どもたちに親しませる必要性があると改めて実感した。(熊本市立黒髪小校長)

優れた教材、意欲向上 荒尾市立万田小・橋本昌尚教諭

 基調講演「NIEの先達 大村はま先生」の実践例を聞きながら、今も昔も優れた教材研究が子どもの学ぶ意欲向上に不可欠だと再認識した。

 全国学力・学習状況調査結果が公表された。本校では、昨年から取り組んでいる「学力向上につながるNIE」の実践が功を奏し、結果となって現れた。新学習指導要領で求められる「主体的・対話的で深い学び」に向け、魅力的な教材開発につながるNIEを実践していきたい。

豊富な情報、手軽に 芦北町立大野小・山田佐和子教諭

 言語活動の「ゴール」として、小学校の下級生の悩みに上級生が答える新聞記事を書くために、より分かりやすい事例を比較して、効果などを話し合う授業を参観した。

 何をどのように取り入れていくのか、記事の扱い方には教師の力量が問われるが、新聞の豊富な情報や論理的な文章がすぐ入手できる手軽さは、それを軽減させるものだと感じた。新聞は、新学習指導要領が求める資質・能力を育むものだと改めて学んだ。

魅力的素材の可能性 熊本市立龍田小・笹原信二教諭

 宇都宮大付属小の国語の授業を参観。「目的があり、魅力的な素材があって、やることが分かっていれば子どもは学びたくなる」という、前日の基調講演の内容をそのまま生かしたような授業だった。

 児童たちは新聞記事を複数読み比べることで、書き方のポイントや表現の豊かさなどを主体的に学び取っていく。自然に対話が生まれ、深い学びにつながる。新聞が魅力的な素材の一つになる可能性を感じた。

実践的で体験的に 私立熊本中央高・柳瀬直也教諭

 宇都宮商業高の「商業教育におけるNIE実践、新聞記事から企業成長を探ろう」に参加した。授業は、プレゼンテーション形式で行われた。東証1部上場企業の株価変動期の事象について、株価チャートの作成時や推論の中に、記事を活用する生徒の主体的で対話的な深い学びが生かされていた。

 本校の総合ビジネス科「総合実践」でも各科目の授業に記事を活用し、実践的で体験的な学習活動に取り組みたい。

へき地教育は最先端 県立鹿本商工高・岩崎隆尋学校司書

 分科会「へき地教育とNIE」に参加した。へき地や小規模校といった厳しい条件やデメリットをいかにメリットに変え、教育効果を上げていくかという視点での取り組み。しかも人事異動で校内体制が変わっても教職員が自発的、継続的に取り組んでいた。

 「へき地教育は教育の最先端研究」という言葉は印象的だった。「NIEがOJT(職場内訓練)の役割を担っている」との評価も新たな気付きになった。