「必要な本が買えません」 政令市で最下位、熊本市の学校図書購入予算 小学校17万円、中学校は24万円 書棚にぼろぼろ〝飾り〟の本も 

熊本日日新聞 | 2022年11月4日 17:00

熊本市立託麻西小の図書室の本棚。図鑑や百科事典は補修を重ねながら古いものを使っている=熊本市東区

 「熊本市立小中学校の学校図書購入予算が少なくて必要な本が買えません」。熊本市の学校関係者の40代女性から、熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に声が寄せられた。取材すると、熊本市の1校当たりの図書購入予算は、全国20の政令指定都市の平均を大きく下回り、最低だと判明。各校の司書が古い本をやりくりして蔵書の充実を図っている実態も浮かんだ。

 熊本市東区にある託麻西小の図書室。約1万冊が収められた本棚には、背表紙がぼろぼろになり、何回も補修された跡がある本が並んでいた。

 図鑑や百科事典といった児童の調べ学習向けの本もそろえてあるが、20年以上前に発売されたものが大半だ。中には、既に通説が変わっているものもある。

 同小で働く50代の女性司書補は「本当は最新版に買い替えたいけれど、高額だから手が出せない。先生や児童からのリクエストも多いが十分には応えられていない」と話す。

 2022年度の熊本市の図書購入予算は、小学校が1校当たり約17万円、中学校は約24万円。どちらも政令市で最下位だった。

 S編取材班が全国の政令市の教育委員会に取材したところ、小学校で最も高かったのは川崎市の約101万円で、中学校は名古屋市の約184万円。平均は小学校が約60万円、中学校が約86万円と、熊本市を大きく上回る。

 予算の少ない熊本市だが蔵書数は足りているとされる。熊本市教委によると、文部科学省が定める学校規模に応じた蔵書数の目標を達成した学校の割合は21年度、小学校89・1%、中学校73・8%。いずれも全国平均を大きく上回る。

 ただ、こちらも実態は厳しい。

 熊本市南区の隈庄[くまのしょう]小の一室には、本がぎっしり詰まった100箱以上の段ボールが部屋いっぱいに置かれていた。老朽化などが理由で図書室から別室に移したが、新しい本の入手が困難なため保管している。同小の蔵書数は約1万2700冊だが、その30%近くの約3600冊はこうした〝保管本〟だ。

 同じ南区の小学校で働く40代の女性司書補は「ぼろぼろの本を〝飾り〟で置いて蔵書数を確保するケースも多い。古い本が並ぶのは悪いことばかりではないとは思うが…」と明かす。

 全国では、新型コロナウイルス禍で児童生徒の本の貸出冊数が増えたことを受け、年度途中で予算を増やした自治体もある。政令市の中で熊本市に次いで小中学校の図書購入予算が少なかった相模原市は、9月補正で予算を当初の5倍に増やした。

 熊本市教委は来年度の予算について「具体的な金額はこれから議論する。現場の声に耳を傾けながら、学校図書の充実を見据えて編成したい」とした。(岡本遼)

■市立図書館、児童生徒向け蔵書の巡回も

熊本市立図書館が実施している「物語定期便」。児童生徒向けの120冊が入った定期便が市内の小中学校に毎月回ってくる

 熊本市立図書館(同市中央区)では、全国の政令指定都市と比べて少ない市の学校図書購入予算を〝カバー〟するかのような施策もとっている。

 児童生徒向けの本が毎月120冊ずつ市内各小中学校に回ってくる巡回型の「物語定期便」は、2004年度にスタート。学校の図書室には配置が難しい高額な本や、長年読み継がれている小説などの「良書」を、司書が選んで定期便にする。21年度は英語版の絵本を追加するなど、ニーズに合わせて10年ぶりにラインアップを入れ替えた。

 20年5月以降は、電子書籍をウェブサイト上で読める「電子図書館」を、児童生徒が学校図書の貸し出しで用いる「図書利用カード」でも使えるようにした。今年1月には周知を強化するため、電子図書館にアクセスできるアイコンを、児童生徒が学校で利用するタブレット端末のホーム画面に追加。20年度、延べ3万5354人だった小中学生の電子図書館の利用者数は、21年度には4・3倍の11万6362人に増えた。(岡本遼)

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