ロアッソ、23日最終戦!! 「いつも強かった」仙台に惜敗、負けて感じたチームの成長 <WEBコラム・赤馬のキセキ>

「熊本が弱いとは思わないが、この結果が今の実力かもしれない」。1-2で敗れた16日の仙台戦後の会見に臨んだロアッソの大木武監督は少し悲しげだった。表情とは裏腹に言葉の奥には悔しさがにじむ。もっとやれるはずなのに-。そんな思いが透けて見えるようだった。
仙台のホーム・サッカー専用のユアテックスタジアム仙台(ユアスタ)を最初に訪れたのは駆け出しだった2008年6月。「何なんだこの光景は」。1万人以上のサポーターが集まり、ゴール裏で大きな旗が何本もはためき、応援歌が響く。スタジアムを包む熱狂に度肝を抜かれた。
いつも仙台は強かった。熊本での対戦も含めて、リーグ戦はこれまで2分け5敗と白星がない。どっしりと構える横綱にぶつかり稽古を挑む平幕のように、懸命に押し込んでも、気が付けば土俵に転がされている。そんな感覚に陥る相手だった。
今回も結論からいえば負けた。しかし、これまでとは違う感覚に私自身戸惑っている。仙台はフォーメーションを変えて、2トップを採用。さらに、守備の要のフォギーニョを1列上げるなどし、全員が連動した早め早めのプレスで、熊本の攻撃のリズムを生み出すパス回しを封じに来た。受ける〝横綱相撲〟ではなく、自分たちから動いて熊本の良さを消すことを選択していた。
キックオフからギア全開の相手に面食らう熊本。予想以上の相手のプレッシャーに対処できず自陣にくぎ付けにされた。わずか4分で失点。1万人超の相手サポーターの大歓声に気おされた熊本選手の表情は、記者席からは一段とこわばったように見えた。

熊本も必死に盛り返した。後半24分のターレス投入で流れを引き戻し、30分には右CKからDF菅田真啓のヘディングシュートで同点。その直後、ターレスの絶妙なグラウンダーのクロスに対しペナルティーエリアに複数人が走り込んだがあと一押し届かず。決定機を逃したが、逆転のにおいは確かにした。
後半ロスタイムに相手CKからフォギーニョの決勝弾。タイムアップを前に、ホーム最終戦での勝利とプレーオフ圏内浮上を願う仙台サポーターの声は一段と大きく、選手たちを鼓舞していた。
熊本は前後半でシュートはわずか4本に抑えられた。ただ、大量失点を覚悟したほどだった序盤の展開から、徐々に盛り返せたことにもチームの成長を感じたし、仙台が陣形を変えてまで熊本対策を施してきたことも、それだけ熊本のサッカーが脅威だったということだろう。「仙台に負けて心から悔しいと思えることが、チームが強くなった証拠かも」。試合後、熊本から取材に来ていたフリーランスの記者がつぶやいた言葉に納得できた。
42試合の長かったシーズンも大詰めを迎える。ホームのえがお健康スタジアムで迎える23日の横浜C戦が最終戦。熊本は開幕前に目標にした勝ち点「70」まであと1勝に迫り、プレーオフをホームで開催できる4位を死守するためにも、絶対に譲れない試合だ。
今季一戦ごとに上昇曲線を描いてきた赤馬イレブンの集大成。サポーターが大歓声で選手を後押しした16日の光景を、今度はぜひ「えがお健康スタジアム」でも見たい。そうなれば、仙台戦の黒星は、チームを引き締めた「今季最後の敗戦だった」と笑って振り返られるはずだ。(後藤幸樹)
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熊本市出身。早回しの歌に乗せた形態模写やデフォルメの効いた顔まねでデビューして45年。声帯模写も身に付けてコンサートや座長公演、ドラマなど活躍の場は限りなく、「五木ロボ」といった唯一無二の芸を世に送り続ける“ものまね界のレジェンド”です。その芸の奥義と半生を「ものまね道」と題して語ります。