「九州山地が障害物に」〝最悪コース〟台風14号 想定より東、勢力弱まったか

熊本日日新聞 | 2022年9月20日 22:08

 18日夜遅くから19日未明にかけて熊本県内を通過した台風14号。熊本地方気象台は当初、「熊本にとって最悪のコース」と予想していたが、県内に甚大な被害をもたらした平成の二つの台風(1991年、99年)と比べると被害は少なかった。気象台は「想定より東寄りを進んで陸上を北上したことで、勢力が弱まったのではないか」とみている。

 気象台の沖吉久司地域防災官によると、台風は進行方向の右側が風雨ともに強くなる。陸上より湿度が高い海上で水蒸気を補給しながら進んだ場合、勢力は維持したままか発達する。西の海上から熊本に入ってくるコースが最も被害が大きくなるという。

 91年9月の台風19号は長崎県佐世保市の南に上陸。熊本県内で4人が亡くなった。住宅約1890棟が全半壊し、阿蘇で最大瞬間風速60・9メートルを観測した。99年9月の台風18号は県北部に上陸し、不知火町(現宇城市)で12人が犠牲となった高潮が発生。牛深で最大瞬間風速66・2メートルを記録した。

 これに対し、台風14号は鹿児島に上陸し、県内を北上した。気象庁の速報値では、県内に最接近した18日夜遅くは「非常に強い台風」だったが、19日午前0時時点で「強い台風」に。最大瞬間風速は熊本空港の38・1メートルだった。沖吉氏は想定より東寄りの進路となった理由について「太平洋高気圧が東に後退したため」としている。

 台風14号は宮崎県で記録的な大雨となったが、熊本県内では宮崎との県境に近い球磨地方など山間部を除いて比較的に雨量は少なかった。熊本大大学院先端科学研究部の冨田智彦准教授(気象学)は「九州山地によって熊本は守られた」と指摘する。

 台風の温かく湿った空気が高い山を越える際は空気が上昇して温度が下がり、大量の雨を落とす。冨田准教授は「今回は水蒸気の多くが九州山地の宮崎側斜面で雨に変わり、湿度の少ない空気が熊本に入り込んだ。山地が障害物となって風の勢いも弱まった」との見方を示した。(元村彩)

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