保育士の人繰り、「原則開園」で苦慮 感染者や濃厚接触者が急増、社会活動維持へ負担増

熊本日日新聞 | 2022年9月5日 08:30

子どもたちが使う机はパーティションで仕切るなど、感染対策に気を使いながら活動する月出保育園=熊本市

 長引く新型コロナウイルス禍で、保育施設でも人員確保に苦慮する状況が続いている。「第7波」では保育士も感染者や濃厚接触者となるケースが急増。一方で、保育施設が社会活動を維持するために必要な〝社会基盤〟として再認識される中、職員に感染者が出ても「原則開園」が求められており、人繰りと職員の負担増に頭を悩ませている。

 熊本市東区の月出保育園は第7波に入り、未満児クラス(3歳未満)の保育士5人中4人、給食の調理師ら3人中2人が同時期にコロナ陽性などで自宅待機となった。市からは弁当持参に切り替えるよう助言されたが、既に食材を発注していたため、専門外の保育士が調理補助に入るなどしてやりくり。感染拡大で登園する園児が減っているため急場をしのげたという。

 寺嶋裕児園長(67)は「他のクラスの職員を代わりに入れたり、複数クラスを同時にみたりするのは感染拡大の懸念から好ましくなく、負担も大きい。人繰りは常にぎりぎり」とため息をつく。

 保育施設で感染者が出た場合、当初は濃厚接触者の特定が済むまで一部または全面休園していたが、熊本市は4月から濃厚接触者を追跡せず、職員らの感染が確認されても原則開園するよう求めている。

 市保育幼稚園課は「休園が相次いだ第6波では保護者から『仕事に行けない』などと多くの苦情が上がった。保育園は社会活動の維持に直結するため、できるだけ休園しない方法を助言している」と説明する。

 同課によると、1月からの第6波では濃厚接触者の追跡やクラスター(感染者集団)の発生などで1週間の休園が延べ40~50施設に上ったが、第7波の7月以降は2~8施設にとどまる。その大半が職員の感染でどうしても人繰りがつかないケースだが、市はクラス間の職員を融通するなどして子どもの受け入れを続けるよう呼びかけている。

 医療従事者などエッセンシャルワーカーを含む多くの職種を支える保育施設。寺嶋園長は「経済や社会活動の重要性も分かるが、そのために保育士が担当外の仕事を強いられるなど負担が増し、犠牲になっている」と強調する。

 同市中央区の保育園でも保育士の自宅待機が相次ぎ、残った職員の負担が大きくなっているという。40代の副園長は「低年齢の子はマスクをしないし、距離も取れない。子どもがせき込んでいても預けにくる保護者もいて、家庭保育を説得するのも神経を使う」と打ち明ける。

 両園からは「感染拡大中はクラスター(感染者集団)の怖れもあり、可能な範囲で家庭保育をお願いしたい」との本音も漏れる。「現場が逼迫[ひっぱく]しているのは医療従事者だけではない。感染リスクを抱えながら働く保育士にも目を向けてほしい」(河北希)

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