ウッチャン、古里舞台に短編映画 熊本豪雨被災の人吉球磨で撮影 「今の風景を撮りたかった」

熊本日日新聞 | 2022年9月1日 04:00

自身が監督・脚本を手がける人吉を舞台にした映画で市職員役で出演する内村光良さん(夏空ダンス製作委員会提供)

 熊本県人吉市出身のタレント内村光良さんが、熊本豪雨で被災した人吉球磨を舞台に短編映画を制作する。自ら監督・脚本を手がけ、8月に人吉市内で撮影。記者会見した内村さんは「(復興途上にある人吉の)今の風景を撮りたかった。全国の人に見てほしい」と語った。

 映画のタイトルは「夏空ダンス」。ダンスに打ち込む女子高生がダンサーになる夢へ踏み出す青春物語で、豪雨の爪痕が残る場所でのダンスシーンを盛り込む。内村さんは主人公の父親の市職員役で出演する。

人吉を舞台にした映画制作の監督を務める内村光良さん(夏空ダンス製作委員会提供)

 撮影には大勢の住民がエキストラで参加し、人吉城跡や市役所、JR人吉駅などでカメラを回したという。来年公開予定で詳しい出演者は公表していない。

 2020年7月の豪雨では内村さんの実家も被災、古里の光景を目の当たりにしてがくぜんとしたという。会見では「水害から2年、少しずつ変わっていく街と、荒れ地や更地の風景を(映画で)残したいという思いから出発した。人吉球磨の皆さんと一緒に思い出の地で撮影し、感慨深い」と語った。

 映画制作は人吉市と県が補助金を出して支援。会見に同席した松岡隼人市長は「復興の後押しとなり、人吉球磨を全国に知ってもらえる」、蒲島郁夫知事は「人吉球磨の人々を勇気づける。完成を楽しみに待ちたい」と期待した。(川野千尋、中村勝洋)

映画撮影についての質問に答える内村光良さん=人吉市

 ■内村さん「住民の笑顔にほっとした」       

 内村光良さんは会見で、被災した古里・人吉や撮影に込めた思いを語った。

 映画を撮りたいという思いは豪雨災害後、次第に強くなったという。

 「水害で実家も床上浸水し、両親も避難した。直後に様子を見に帰ったが、変わり果てた街にがくぜんとした。新型コロナのため日帰りで(復旧を)手伝うこともできず、いろんな思いがあった」

 自分の高校時代と重ね、青春ストーリーを描いた。

 「爪痕が残る場所でダンスするのがいいんじゃないかと(脚本を)書いてみた。架空の人吉高ダンス部員12人の生き生きした様子を撮った青春もの。いろんな思い出の場所で撮った。例えば村山公園は遠足やデートをした場所。公園にある仮設住宅の入居者にも撮影に協力してもらった」

人吉を舞台にした映画制作の監督を務める内村光良さん(夏空ダンス製作委員会提供)

 豪雨から2年。帰るたびに古里の風景が胸に迫る。

 「汽車(JR肥薩線)がなく、第二球磨川橋りょうは(被災)当時のままで悲しくなる。だが新しくなった建物もある。今は現在進行形で、まったく復活していないとも、しているとも言えない。でも、そこに皆さんが笑顔で暮らしているのを見るとほっとしたり…」

 単に「復興のPR映画」とは考えていない。

 「(被災地を)離れていく人など現実的な部分を描いた。人吉球磨の皆さんはもちろん、日本各地で(豪雨で)同じような経験をされた方など、たくさんの人に見てもらえたらと思う」(川野千尋)

人吉市役所での撮影でリハーサルに臨む監督の内村光良さん(右から2人目)=同市
古里・人吉を舞台にした映画制作を発表した内村光良さん(中央)。左は蒲島郁夫知事、右は松岡隼人市長=人吉市

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