熊本市電の「1・5人席」どう座る? 定員上は「2人」掛け 超低床→車輪など覆う構造に由来 新車両も検討中

熊本日日新聞 | 2022年8月10日 07:30

熊本市電の超低床電車「COCORO」の座席。2人座る設定だが、大人が座ると隣に大人がもう1人座るには狭い=熊本市西区の上熊本車両工場

 熊本市電の「COCORO[こころ]」などの超低床電車について、熊本市東区の女性(56)から「1・5人分の座席があるのですが、利用方法がよく分かりません」との声が「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられた。取材すると、座席は実は2人で座る設定で、超低床ならではの構造に由来することが分かった。

 「1・5人席」は長いシートに乗客が横向きに連なって座るのではなく、前後に向かい合って座るタイプだ。幅は74センチで、JRの1人席の幅が44センチであるのと比べると、2人で座るには狭い。実際、満員状態でも1人で座っている人がほとんどだ。2人目が座っている場合も、通路側に脚を向け軽く腰かけている状況が見られる。

 COCOROの定員は2両86人。座席38、立席48で、定員上は「1・5人席」も2人ずつ座る設定だ。市交通局は「1人で座っても構いません。ただ、2人で座る場合は通路側に脚を出すと他のお客さんが転倒する恐れがあるので注意してもらえれば」と説明する。まあ小さな子どもとなら2人で座れそうだが、なぜこんな中途半端な幅の座席になっているのか。

 熊本市西区の「上熊本車両工場」を訪ね、COCOROの車両の下に入ってみると謎が解けた。

熊本市電の超低床電車「COCORO」

 車両の下にはギアやブレーキ、直径650ミリの車輪やモーター(直径540ミリ、長さ851ミリ)などの装置がぎっしり。車両の床が低いため、これらを覆うように配置された座席が「1・5人席」になっている。背もたれの部分には、雨天時やイチョウの季節に滑り止めにするための砂まき装置も内蔵している。

 ところで、超低床電車もすべてが同じ設計ではない。現在の熊本市電の超低床電車は、いずれも新潟県の「新潟トランシス」社製で同一設計だ。しかし、今後、市交通局が導入を予定している新車両は大阪府の「アルナ車両」が設計する。既に鹿児島市内や長崎市内を走っている同社の超低床車両は、車輪が車両の前と後ろの運転席付近のみにあり、客席には横長シートが採用されている。

 熊本市電で採用する新車両の設計はまだ検討段階だが、今後は新たな形の超低床電車が期待できそうだ。(伊藤恩希)

「COCORO」の座席下辺りに内臓されている装置を指さす職員
「COCORO」の座席の下にある車輪(右)
「COCORO」の車両下に内臓されているモーター

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