タトゥーの外国人 温泉入浴ハードル高い? 海外ではファッションも日本では「反社」 「一切お断り」「シールで隠して」各施設判断悩ましく【S編パートーナー紙から】

熊本日日新聞 | 2022年7月27日 18:18

タトゥーの客も入浴できる旅行人山荘の貸し切り露天風呂=鹿児島県霧島市
結婚記念のウエディングタトゥー。アート感覚で入れる外国人や若者は多い

 訪日外国人の受け入れ再開から1カ月半。新型コロナウイルスの第7波が広がる中でも、受け入れ準備が着々と進む。観光業界の期待は膨らむが、鹿児島市の男性(46)から「鹿児島はタトゥー(入れ墨)に厳しく、温泉好きな外国人を連れて行けない。残念だ」との声が南日本新聞の双方向型報道「こちら373」に届いた。タトゥー客の入浴対応は悩ましい問題となっている。(南日本新聞)

 日本ではタトゥーは反社会的勢力と関連づけられがちだが、海外ではファッションやアート、伝統文化として一般的になっている。

 鹿児島市のカナダ人夫婦は愛を誓うウエディングタトゥーを腕に入れている。二人の腕を合わせると一つの絵が完成するデザインは夫(42)が考えた。「指輪はなくす恐れがあるが、タトゥーはずっと残る」

 夫婦は鹿児島に来て3年になるが、妻(37)が県内の温泉に行ったのは1回、夫はゼロ。「断られるので行かない。日本はタトゥーにネガティブでちょっと閉鎖的と思う」と話す。

 実は公衆浴場法に入れ墨の有無による規定はない。2016年、観光庁は「外国人と日本人で入れ墨に対する考え方に文化の違いがあり、一律の基準を設けることは困難」としつつも、施設に対応改善を促した。17年には政府が「入れ墨だけを理由に入浴を拒むことは困難」と見解を出した。

 しかし、反社会的勢力への市民の警戒感は根強く、入れ墨容認は少ない。判断は各施設に任され、県内の公衆浴場や温泉宿泊施設は「一切お断り」「シールで隠せばOK」「家族風呂ならOK」など対応が割れる。外国人はよくて日本人はダメという訳にもいかない。

 霧島市の旅行人山荘はタトゥーのある客には四つの貸し切り露天風呂を勧めている。ワンポイントのタトゥーなら、フロントで配布するシールを貼って大浴場にも入れる。「これまでトラブルはない」と蔵前仁宣社長は話す。

 銭湯は生活に不可欠なライフラインの一つとして、タトゥー客を受け入れてきた歴史がある。鹿児島市の銭湯・亀乃湯の永用八郎社長は「だれでも入れることが大切で、昔から大衆浴場として入れ墨を理由に入浴を断ってこなかった」と説明する。

 ただし永用社長が鹿児島市支部長を務める県公衆浴場業生活衛生同業組合でも各銭湯の判断に委ねられており、「難しい問題」と永用社長。一方で「世界から見ると、見た目で差別する『ルッキズム』と指摘されかねない」との懸念も抱く。

 タトゥーをする日本の若者も増えている。霧島温泉旅館協会会長でもある蔵前社長は「コロナ禍で棚上げになっていた課題。今後、議論していく必要がある」と話す。

〝温泉県〟大分は積極的に受け入れ

 鹿児島と同じ温泉県・大分県はタトゥー入浴客を積極的に受け入れる。別府市に19カ所ある市営温泉はすべて入浴可能。同市温泉課によると、外郭団体は入浴可の施設を示した英語の温泉マップも作成した。

 大分市観光協会のホームページは、タトゥーによる入浴の可否を紹介している。家族風呂を含め33カ所中18カ所と半数超が入浴可能。19年に大分県で開催されたラグビーW杯が契機になったという。

 市観光課の広瀬良太主任は「外国人が温泉を楽しみに来ていることを感じている。各施設の方針は尊重しながら情報を集約し積極的に発信していきたい」と話す。(南日本新聞)

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