熊本城・夏の恒例行事 節電中に夜間開園いいの? 熊本市「需給に影響せず」「逼迫なら中止も」
熊本日日新聞 | 2022年7月25日 07:30

電力需給の逼迫[ひっぱく]を懸念して政府が夏の節電を要請する中、熊本城の夜間開園を疑問視する声が熊本日日新聞社に寄せられた。「不要不急の施設は営業時間を短縮し、行政が率先して節電に取り組むべきだ」(熊本市南区の男性)という意見だ。同市に夜間開園を決めた理由や、全体的な節電の取り組みを聞いた。
政府は6月、猛暑やロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料調達難などで今夏の電力需給が厳しいとして、全国の自治体や事業者、国民に節電を要請。生活や経済活動に支障がないよう数値目標は設けていない。
こうした中、熊本市は7月22日から毎年恒例の熊本城の夜間開園を開始。「夏の夕涼み開園」と銘打った8月末までのイベントで、開園時間は通常より4時間長い午後9時まで。対象は金・土・日・祝日とお盆の15日の計20日間。熊本地震や新型コロナ禍の影響がなかった2015年には、45日間のフル開園で3万1652人が入園した。
市熊本城総合事務所によると、夜間開園時には屋外の見学通路をはじめ、周辺の石垣や櫓[やぐら]でLED照明を点灯。天守閣内部でも照明や空調設備を稼働させる。

国の節電要請を受け、事前に開催の是非を内部で検討。最低3%が安定供給の目安とされる電力の地域ごとの「供給予備率見通し」は、九州で7月が3・7%、8・9月は5~6%台と予測されており、「夜間開園に伴う電力消費は全体の需給状況に影響しない」と判断して実施を決めたという。
ただ、南区の男性が指摘するように、夕方から夜にライトアップされる熊本城の姿は、市民の節電意識に影響を与えかねない。
同事務所の吉村裕仁副所長は「難しい点だが、涼しい時間に熊本城を楽しむ夏の行事として定着しており、許容範囲内と判断した」と述べ、理解を求める。実際に電力不足が発生する事態になれば時間短縮や中止も検討するという。
一方、市は普段から市有施設の使用電力削減を進めている。北区役所など16施設では消費電力が上がると空調の一部が自動で切れるシステムを導入。建て替えや改修予定がない施設の照明は、来年9月までに全て消費電力の少ないLEDに切り替える。
「昼休みの消灯や空調の温度管理など地道な努力を続けている。今後、需給が逼迫すればパソコンのモニターを暗くしたり、エレベーターを止めたりする対応も検討する」と市温暖化・エネルギー対策室。市役所全体でめりはりを付けつつ「節電の夏」を乗り切る構えだ。(河内正一郎)
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