身元明かさず「匿名出産の可能性」 熊本・慈恵病院が妊婦保護 市に対応要望

熊本日日新聞 | 2021年10月28日 21:20

慈恵病院=熊本市

 病院にのみ身元を明かして出産する独自の「内密出産制度」を導入している慈恵病院(熊本市西区)は28日、「誰にも知られずに出産したい」と訴える臨月の女性を保護していると明らかにした。女性は身元を明かすことを拒否しており、「匿名出産になる可能性がある」という。

 国内では内密・匿名出産ともに法制化されていないが、同病院は「母子の安全を優先し、匿名での出産を受け入れざるを得ないかもしれない」と判断。早急に体制を整える必要があるとして同日、熊本市に対応を求める要望書を提出した。内密・匿名出産となれば、同病院では初の事例。

 病院スタッフが身元を明かすよう説得を続けているが、女性は一部しか語らないという。「2週間も身元を明かさないケースはこれまでになく、出生届の親の欄が空欄になる可能性がある。市には急いで対応してほしい」と蓮田健院長。市は「対応を検討して回答する」としている。

 同病院は2019年、母親の情報は病院が管理し、子どもが自分の出自を知る権利を担保する独自の内密出産制度を導入した。病院によると、これまでにも「秘密で出産したい」と数件の相談があったが、いずれも出産までに身元を明かした。

 熊本市は内密出産制度について、「法令に抵触する恐れがある」として同病院に実施を控えるよう要望してきた。一方、国に「一地方自治体・一民間病院で解決できるものではない」として、早急な法整備検討を要請している。(清島理紗)

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