熊本県内の宿泊業「国は有効な支援策を」 コロナ禍の衆院選 訪日客消え、国内客も大幅減

熊本日日新聞 | 2021年10月26日 09:00

新型コロナウイルス感染「第5波」の収束を受け、1日から特別公開を再開した熊本城の天守閣前広場。コロナ禍前に目立った外国人観光客の姿が消えた=25日、熊本市中央区

 熊本県内宿泊者の1割を占めていた訪日外国人客は、新型コロナウイルスの世界的流行で消え去った-。県内では2019年の二つの国際スポーツイベントや、20年に予定されていた東京五輪による需要拡大を見込み、熊本市を中心にホテルが続々と建設された。しかし、コロナ禍で20年の外国人宿泊客は前年比85%減、国内客も大幅に減少する想定外の事態に陥った。経営者からは「何とか借金でしのいでいるがもう限界。国は有効な支援策を」と悲痛な叫びが上がる。

 19年、熊本市などでラグビーワールドカップ(W杯)と女子ハンドボール世界選手権が開かれた。市内の宿泊施設は18年からの2年間で59軒増加し、収容人員数も2割以上増えた。そこを襲った新型コロナ。市観光統計によると、20年の宿泊者数は168万914人で19年比40%減。うち外国人は4万8977人で同86%減と大きく落ち込んだ。

 19年7月に西部ガスグループ初のホテルとして開業したアンドコンフィホテル熊本城ビュー(同市中央区)は屋上テラスからの眺望が好評で順調な滑り出しだったが、半年後にコロナ禍が直撃。客足は現在も戻らず、担当者は「こんな厳しい状況が2年近くも続くとは想定外。一日も早くコロナが収束し、訪日外国人客を含めた需要の回復を願うしかない」と肩を落とす。

 熊本を代表する観光地はさらにダメージが大きい。阿蘇温泉観光旅館協同組合(阿蘇市)の稲吉淳一理事長(52)は「中国、韓国、台湾に加え、東南アジアに営業先を広げ始めた直後のコロナ禍だった」と振り返る。市観光協会によると市内35宿泊施設の20年度の外国人客数はわずか364人で、前年度比99%減、海外団体客はゼロ。国内客を含めた宿泊者数も20万963人で半減した。

 稲吉理事長は「営業態勢を縮小し従業員を休ませても、人件費や電気、水道など固定費は高額。各施設は銀行からの借り入れで何とかしのいでいるが、今後、利息の支払いがのしかかる」と険しい表情だ。

 19日、観光イベントPRのため熊本市役所を訪れた県旅連女将[おかみ]の会の会長で、黒川温泉ふもと旅館の松崎久美子さん(67)は「今、必要なのは一時的なカンフル剤ではなく、長期にわたる“点滴”。コロナ禍前の状況まで回復するにはかなりの時間がかかる。当面は宿泊割引など人の動きを促す支援策を継続してほしい」と求めた。

 稲吉理事長は「宿泊補助など補助金による支援は大変ありがたいが、何より早く経済活動が元に戻ってほしい」と要望。「その前提となるワクチン接種率の向上は当然ながら、ワクチンを打てないお客さまのために検査態勢の充実も急務だ」と訴える。(久保田尚之、植山茂)

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