産後ケア、母親に寄り添う 熊本県内10市町、助産師ら指導 授乳や沐浴、育児相談も

熊本日日新聞 | 2021年10月06日 09:35

熊本市など3自治体の母親を対象に産後ケアを実施する助産師の和田洋子さん=菊池市

 4月施行の母子保健法改正により、出産後の母親をケアする「産後ケア事業」が市町村の努力義務になった。熊本県内では、10市町(7月末現在)が実施。ケアを受ける母親らには好評だが、自治体によりサービスに違いがあるなど課題も浮上する。

 事業は、産後に心身の不調や育児不安がある母親らが対象で、母親の健康回復と、産後うつや虐待を防ぐのが目的。自治体が助産院や病院に委託し、助産師らが授乳トラブルの解消や育児相談に応じる。

 県子ども未来課によると、費用は国と自治体が2分の1ずつ負担。利用者は、通常より少ない料金でケアを受けられるという。県内では、玉東町が2015年5月に取り組みを始めたのを皮切りに、徐々に増加。努力義務となった本年度からは、熊本市など4市町が加わった。阿蘇市と上天草市も本年度中にも始める意向を示している。

 菊池市泗水町で未来助産院を開く和田洋子さん(45)は、同市と熊本市、菊陽町から事業を受託している。一月に延べ10人ほどが利用し、来院する母子には母乳育児相談や沐浴[もくよく]指導など4~5時間にわたってケアを行っている。

 「産後ケアは母親に寄り添い、その人にあった子育ての仕方を探す作業」と和田さん。「今日は正しい授乳の姿勢を学んでもらう」などの目標を立て、赤ちゃんの成長や母親の心身の状態を見極めながら、課題を一つずつ解決していく。

 2カ月の長男と訪れた熊本市東区の母親(32)は、「体も気持ちも楽になる。初めての子育てで何も分からなかったが、専門的なアドバイスも受けられて安心」と喜ぶ。新型コロナ禍で家族以外と接する時間が減ったため、ちょっとした不安を吐き出す良い機会にもなっているという。

 サービスの期間設定などは、各自治体に任されており、県内でもばらつきがある。熊本市のサービスの対象は産後4カ月未満。現在の国のガイドラインでは産後1年の母親を対象としているが、昨年までは4カ月未満としていたためだ。先の母親も、「せめて1歳までは利用したい。期間が短いのが残念」とこぼす。

 さらにサービス内容や利用者負担も自治体で異なる。サービスは、母子が助産院などに宿泊する「宿泊型」、日帰りする「デイケア型」、助産師らが母子の自宅を訪問する「訪問型」の3種類だが、全てそろっているところは県内では少ない。

 県助産師会の坂梨京子会長(64)は「どの自治体でも同じサービスを受けられるのが理想だが、開業助産師がいない地域もある」と指摘。「資格があっても就業していない『潜在助産師』の掘り起こしを進め、自治体の事業開始を促したい」と話している。(清島理紗)

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