再び注目集める子宮頸がんワクチン 副反応懸念で接種激減も熊本県内増加傾向 冊子で判断材料提供

熊本日日新聞 | 2021年08月04日 10:00

熊本市が対象者に配布している子宮頸[けい]がんワクチン接種についての案内文書とリーフレット

 子宮頸[けい]がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染を予防するワクチン接種が再び注目されている。昨年秋以降、厚生労働省作成のリーフレットが県内の対象家庭に届くようになったためだ。副反応の懸念から厚労省は8年前から積極的な接種勧奨を中止しているが、どれくらいの人が打っているのだろうか。熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられた声を元に取材した。

 投稿したのは、高校1年生の娘を持つ熊本市の女性。市からワクチン接種の案内が届いたという。「案内には『国はワクチン接種を勧奨していない』と書いてある。受けた方が良いのだろうか。現在はどのくらいの人が受けているのか知りたい」

 国内で子宮頸がんと診断される人は年間約1万千人。年間約2800人が亡くなっている。ワクチンの国内承認は2009年12月。10年度から公費助成が始まり、13年4月、小6から高1の女子が無料で受けられる「定期接種」になった。

 しかし、副反応の報告が相次いだことから厚労省は同年6月に積極的な勧奨を中止した。定期接種は継続しており、対象者は無料で受けられる。昨年10月、厚労省は専門家会議の提言を踏まえ、都道府県に対し、対象者と保護者にリーフレットを個別配布してワクチンに関する情報を提供するよう通達した。

 県はただちに市町村や各地の医師会などに周知依頼のメールを送り、リーフレットの電子データを添付したという。リーフレットは4ページの簡略版と8ページの詳細版の2種類。ワクチン接種で「子宮頸がんの原因となるウイルス感染を50~70%予防できる」とする一方、呼吸困難やじんましんといった副反応についても記載している。

 熊本市は今年1月、高1の女子がいる家庭にリーフレットを送付。5月には中1と高1の6745世帯に送った。市感染症対策課は「ワクチンが公費で受けられることや有効性や副反応について知ってもらい、判断材料を提供するのが目的」と話す。

 県の集計では、定期接種になった13年度に1回目の接種をした人は対象者約5万人のうち1292人だった。勧奨中止を受け、14年度は47人に激減。19年度も299人(0・6%)にとどまった。ところが、20年度は1274人(2・5%)に増加。10月以降に増えており、県は「情報提供の影響」とみる。

 大阪大大学院の研究グループが、厚労省の統計を基に誕生年度別の接種率を算出したところ、接種勧奨を受けた1994~99年度生まれの接種率は55~78%に上った。一方で、勧奨中止期の2000年度生まれは14%、01年度生まれは1・6%だった。

 同大学院医学系研究科の八木麻未・特任助教は「子宮頸がん予防にはワクチン接種と定期的な検診が有効。接種に不安を感じる人は医師に相談してほしい」と話す。

 厚労省や県、熊本市の担当者は取材に「接種は任意で、積極的に推奨するものではない」と声をそろえる。ワクチンの有効性とリスクについては厚労省のホームページにも詳しく紹介されている。親子でよく話し合い、医師に相談するなどして、接種するかどうかを決めることが重要のようだ。(清水咲彩)

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