国技館に「第九」、厳かに 平和祈る合唱響く

両国国技館(東京都墨田区)で23日、ベートーベンの交響曲第9番「第九」を演奏する「国技館5000人の第九コンサート」が開かれた。1945年3月の東京大空襲で被災した国技館の再建を記念して85年に始まった催しで、今回で38回目。「全ての人が兄弟になる」と、平和で平等な世界を訴えた合唱のハーモニーが厳かに響いた。
今年は戦後80年や阪神大震災30年といった節目の年となった。合唱団には首都圏のほか北海道や宮城、石川、兵庫、沖縄県、さらに韓国、ドイツから駆け付けた人も含めて約4700人が参加。日本を代表する指揮者大友直人さんのタクトで新日本フィルハーモニー交響楽団が曲を奏で、約4千人の聴衆が聞き入った。
主催団体の一つである「国技館すみだ第九を歌う会」の田中進会長は「今も世界で戦火がやまず、人々の分断も深まっている。第九の訴える愛と平和のメッセージを、一人一人の思いを重ね合わせて世界に届けたい」と開催趣旨を語った。