地震被災地をチベットと記さず 中国政府の英文発信に批判
【北京共同】中国の政府やメディアは9日までに、チベット自治区で7日起きた地震について英文で発信する際、被災地の地名を「チベット(TIBET)」ではなく、チベットの中国語「西蔵」の発音に当たる「シーザン(XIZANG)」と表記した。チベットの「中国化」を進める政策の一環とみられ、チベットを支援する団体からは「地図からチベットを消そうとしている」と批判する声が上がっている。
自治区で2008年に中国統治に反発して大規模暴動が発生したことを受け、中国はチベット族に対する中国語や共産党思想の教育を徹底。近年は地名の英語表記にチベットを使わなくなっている。
9日付の国営英字紙チャイナ・デーリーや共産党機関紙、人民日報系の環球時報英語版は1面にチベット地震の記事を掲載。自治区をシーザンと表記し「被災者らが救援隊に感謝している」と支援の成果をアピールした。国営通信新華社の英文記事や国営中央テレビの英語放送、中国政府や在米中国大使館のX(旧ツイッター)への投稿もシーザンと表記した。