熊本市の7~9月、猛暑日数や平均・最高気温で記録更新 県内12地点でも史上最高気温 熱中症最多、農業や鉄道にも打撃

熊本日日新聞 2024年10月3日 22:30
観測史上最高気温の38.9度を記録した甲佐町。高温の路面が鏡面のように見える「逃げ水」現象が見られた=8月、同町
観測史上最高気温の38.9度を記録した甲佐町。高温の路面が鏡面のように見える「逃げ水」現象が見られた=8月、同町

 例年にも増して猛暑が続いた今夏、熊本市では7~9月の平均気温が29・5度、35度以上の猛暑日は計51日、最高気温は38・8度と観測史上の記録更新が相次いだ。熊本県全体でも18観測地点のうち12地点で史上最高気温を記録した。熱中症の搬送者数は過去最多となり、農畜産業や鉄道も余波に見舞われた。

 熊本市では、最低気温25度以上の熱帯夜も計65日と過去最多、最高気温30度以上の真夏日は計81日で過去2番目の多さだった。9月20日は観測史上で最も遅い猛暑日となった。猛暑日は1994年と2018年の計41日が最多で、7~9月の平均気温は03年の28・2度が最高だったが、どちらも大幅に更新した。

 県内で最高気温を更新した12地点のうち、甲佐町で38・9度、八代市で38・7度、宇城市と玉名市、あさぎり町で38・4度など8地点で38度を超えた。

 熊本地方気象台によると今夏は高気圧の影響が強く県内では雨も少なかったため、記録的な暑さが続いた。厳しい残暑はようやく一段落したが、10月も気温は平年より高い見通し。3日は県内各地で雨が降り、熊本市の最高気温は22・7度で、7月14日以来、81日ぶりに25度を下回った。

 猛暑は生活に打撃を与えた。総務省消防庁の集計では4月29日~9月29日に県内で熱中症の疑いで救急搬送されたのは速報値で2034人。ほぼ同期間で比較できる15年以降で最も多く、昨年より433人多い。

熊本市の7~9月、猛暑日数や平均・最高気温で記録更新 県内12地点でも史上最高気温 熱中症最多、農業や鉄道にも打撃

 環境省などの熱中症警戒アラートも計61日発表され、過去最多だった昨年の1・5倍に上った。県は熱中症対策を促す動画を県内のコンビニ店の電子看板で流すなど例年より呼びかけを強化した。

 暑さは農作物の生育にも影響し、家畜も〝夏バテ〟状態になった。JAグループ熊本と県によると、天草地域の早期米の一部などで粒が白濁する高温障害が見られた。収穫が始まった温州ミカンの極早生品種は裂果などの被害が出た半面、「暑さや少雨の影響で甘みは強くなった」(JA熊本果実連)という。

 県酪連が取り扱った8月の乳量は前年比で約3%減った。乳牛の種付けに苦戦する農家もあった。鶏が餌を食べきれず体力が低下したため、卵が小さくなった養鶏場もある。

 農畜産物の質や量の低下は流通に影響している。熊本地方卸売市場の青果の取引単価は例年と比べ平均で2~3割ほど上がった。暑さや雨の少なさからトマトなどの定植が遅れる産地があり、価格高騰は当面続く見通し。全農たまごが公表している鶏卵相場では、福岡地区のMサイズ1キロ当たりの基準価格は、9月平均で前月比28円高の256円となった。

 猛暑の影響は鉄路にも及んだ。JR九州によると8月1日、JR鹿児島線小川駅近くの下り線で線路のゆがみが発見された。熊本電鉄では8月18日、熊本市北区の北熊本駅で架線が切れた。高温で線路が膨張したり架線が伸びたりした影響とみられ、運転を一時見合わせた。(堀江利雅、馬場正広、遠山和泉)

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
熊本の経済ニュース