〝海の森〟復活を 「アマモ」再生に天草の高校生たちが一役 保全に向けて分析調査開始
熊本県の天草の高校生たちが、稚魚のすみかとなる海草「アマモ」の再生に乗り出した。生息する土壌やアマモを食い荒らす魚種を調べて、アマモの増殖を目指す。生態系を支え、二酸化炭素(CO2)を吸収することから〝海の森〟とも呼ばれるアマモの藻場[もば]を、自治体や漁業者らとともに地域ぐるみで守る活動に加わる。
19日、天草市五和町の若宮公園海水浴場周辺の浅瀬で、天草拓心高マリン校舎(苓北町)の3年生10人がアマモの生態系を調査した。投網やたも網を手に海藻が群生する湾内に入り、ガザミやハゼ、エビなどの魚介類を採取していった。
採取した魚介類は学校に持ち帰り、魚種やサイズなどを分析。天草高(天草市)が並行して取り組む土壌分析結果と一緒に漁業者らに報告し、来年度以降のアマモの定植や保護につなげる。天草拓心高海洋科学科の生徒は「実際に生き物に触れて海藻の大切さを改めて知ることができた。将来的な再生につなげたい」と意気込んだ。
アマモはイネ科の植物。浅瀬に生え、魚が産卵したり、プランクトンが付着して餌場になったりする。天草市によると、2019~23年度の調査で市全域に約109ヘクタールの分布を確認したが、海水温の上昇などで牛深といった天草南部では減少が続いているという。
アマモなど海中の植物や藻類には大気中のCO2を吸収する働きがあり、蓄積した炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれる。環境省が今年4月、世界で初めて温室効果ガスの吸収源として算定したことから、保全に注目が集まる。
市や漁業者らは、これまで地区ごとに進めてきた保全活動の効果を高めようと3月に「ブルーカーボン推進協議会」を設置。天草拓心高や天草高もこの協議会に加わった。
推進協は今後、天草市全域でアマモの増殖や保全を展開し、ブルーカーボン量の算定も進める。市水産振興課は「アマモ再生は短期間でできるものではなく、漁業者だけで進めるのは難しい。地域一体で息長く続けたい」と話している。(馬場正広)
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