一番身近な金融機関に。熊本第一信用金庫(熊本市)の若手が語る「Face to Face」の営業スタイルと働く環境【新卒採用・熊本企業インサイト】
「経営者に直接会って話をできることが、この仕事の一番の魅力」。熊本第一信用金庫(熊本市中央区)の何人もの営業スタッフが口をそろえる。取引先のもとに足を運んで話をする「Face to Face」の営業スタイルを貫き、小さな悩みも気軽に相談してもらえる関係を作る。顧客の悩みを丁寧にヒアリングし、的確なサポートを行う。そんな第一信金の営業スタッフたちを取材すると、地域に密着した事業者と共に歩み、成長する彼らの軌跡が見えてきた。入庫3年目の5人による座談会では、働きやすそうな職場の魅力があふれた。
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目次
「いつでも電話して」。困ったとき最初に頼られる存在でありたい
「おはようございます。今日も暑いですね」
残暑が厳しい9月下旬、帯山・尾ノ上支店の営業係として働く下田真己さん(24)は、熊本市中央区帯山にある不動産会社の女性社長を訪ねた。支店から取引先までは営業用のバイクで向かう。小回りがきき、駐車スペースにも困らないのがいい。
額の汗を拭う下田さんに、女性社長は冷たいお茶を用意してくれた。この日の用件は、この会社がとある地域で土地を仕入れて売り出すにあたり、仕入れ費や造成費の融資ができないかの相談だ。
30分ほどの商談の間には、時折笑顔もこぼれる。
「浜線バイパスにできた家系ラーメンの店、行きました?」「えー、まだ行っていないよ」。ラーメン好きという共通の話題で、さらに会話が弾む。自分のキャラクターを知ってもらい、相手の懐に入れるようになった頃から、いろいろな相談をしてもらえるようになった。
「経営者は私たちの何倍も苦労して事業を営まれてきた。そんな方々に直接会って、多くのことを学ばせてもらっています」
下田さんは東海大学経営学部(熊本市東区)を卒業後、2022年4月に第一信金に入庫。本店での新入職員研修を終え、帯山支店に配属された。内勤の融資係を経て、23年2月から営業係として働いている。
就活中は2つの選択肢があった。大学の野球部主将だった下田さんは、ベテランの監督から「大学職員になって跡を引き継いでほしい」と指導者の道を打診されていた。一方で、経営学部で膨らんだ金融業界への興味も捨てきれなかった。
金融機関2社の説明会に参加した。第一信金では、若手職員から役員まで数人と話す機会があった。
「誰と話しても印象が良く、馴染みやすい感覚があった。理屈じゃなくインスピレーションで、この人たちと一緒に働いてみたいと素直に思えました」
第一信金の仕事は、野球と似ている部分があると感じる。若手には金融や取引先の業界に関する深い知識があるわけではない。自分のスキルで足りない部分は先輩や支店長に相談して、お客さまへの提案を練る。個人プレーではなくチームプレーだ。
「長く働き続けるには、誰と働くかという職場環境も大事。素晴らしいチームに出会えました」と下田さんは言う。
取引先へ足を運んで話をする「Face to Face」の営業スタイルは信用金庫の特徴であり、銀行以上に地域に入り込める武器だ。こまめに顔を合わせるからこそ、困りごとが頻繁に耳に入る。
「屋根の工事を誰かに頼みたい」という相談を受け、取引業者を紹介したこともあった。融資だけではない、様々な支援の形がある。
「何かあったらいつでも電話してください」
商談後に欠かさず口にするあいさつを言い残し、下田さんは店を後にした。「困ったときに最初に思い出してもらえる存在になりたい」。今日もバイクにまたがり、地域を駆け回る。
【同期座談会】入庫動機は?創業支援って何?若手ホープが語る「信金スタイル」
熊本市中央区花畑町の本店に2022年入庫の同期5人が集まった。「ここで新人研修を受けていたときは、研修後によく飲みに行ったね」と当時を懐かしむ。現在はそれぞれ異なる支店で営業係として活躍する5人に、入庫を決めた理由や信用金庫ならではのやりがい、休日の過ごし方などを座談会で語ってもらった。
―熊本第一信用金庫を選んだ理由を教えてください。
川野 体育の教員を目指していましたが、もっといろんな人と会って視野を広げたいと考えるようになりました。興味を持ったのが金融業界。特に信用金庫は経営者に直接会えるため、たくさんの勉強ができるだろうと感じました。
下赤所 文学部で英文学を専攻し、ホテル業界への就職を考えていましたが、新型コロナウイルス禍で新卒の求人がほぼない状況でした。迷っているときに友人から当金庫の説明会に誘われたんです。金融機関には堅いイメージがありましたが、人事担当者がとても親しみやすかったのが入庫の決め手でした。話を聞いているうちに「ここなら楽しく働けそうだ」とイメージできました。
田口 私は3学年上の野球部の先輩が働く健軍支店に職場見学に行きました。「風通しがいい」と聞いていた通り、伸び伸び働けそうな職場の雰囲気が伝わってきました。支店長がとにかく親身で、職種が異なる職員同士の横のつながりも良好に見えたからです。
―印象に残っているお客さまとのエピソードはありますか?
下田 古くて手狭な社屋を建て替えたいという企業に融資をして、先日、新しい社屋が完成しました。融資額が大きかったので、お客さまは他の金融機関から何度か断られていたようです。うちにとっても簡単な案件ではなく、支店長からアドバイスを受けながら計画を詰めていきました。取引先の成長の一歩に関われたことを誇らしく感じます。
島田 当金庫では創業支援に力を入れていて、私はエステサロン、自動車販売会社、建設会社など4社をお手伝いしました。一から一緒に計画を練っていくので、深い関係が築けます。創業後も営業車を買うときにローンを組んでもらったり、預金や保険など当金庫のキャンペーンを利用いただいたりとお付き合いが長く続いています。
川野 創業支援は資金面だけでなく、経営戦略まで一緒に考えるからやりがいは大きいね。私は29歳で美容サロンを独立開業するオーナーの創業支援をしました。出店場所選びから売上計画づくり、オーナー個人の資金管理まで、まさに二人三脚。オープンから半年がたち、売り上げは計画の倍と好調です。何度も「川野さんのおかげ」と感謝されて本当にうれしかったですね。プロとして頼りにされている実感が得られた仕事でした。
休みやすく週末が充実。子育てを支える祝い金制度も
―福利厚生などで、うれしいものは?
下赤所 有給休暇を取りやすいことですね。今年7月からは新しく、誕生月に1日取れるバースデー休暇もできました。私は月曜日にバースデー休暇を取り、土日と合わせた3連休で花畑広場のビールイベントを楽しみました。翌日のことを気にせずに飲めるって素晴らしいです!
田口 ここにいるメンバーはまだ結婚していませんが、子育て支援の制度は将来を考えると心強いです。結婚祝い金(入庫2年以上14万円)や出産祝い金(第一子5万円、第二子以降3万円)があります。また、子どもが高校、専門学校、大学に進学したら在学手当(毎月、公立高5,000円、私立高1万円/県内大学1万円、県外大学3万円)が出ます。うちの支店の先輩は双子が生まれて、祝い金がダブルで出たと喜んでいました。
―休日はどう過ごしていますか?
下赤所 土日祝日は原則休みなので、イベントや友人との時間を楽しめるのがうれしいですね。私は大学時代の仲間や先輩とバレーボールチームを組んでいて、毎週活動しています。先日は芦北町のビーチバレー大会に参加しました。
田口 私と川野、下田は当金庫の野球部に所属しています。週末は練習や試合が多いですね。今年の夏は「熊本市民早起き野球大会」で優勝しました。練習がない週末はゴルフに行っています。
川野 野球の練習がなくてもゴルフに一緒に行くから、3人で過ごすことが多いな(笑)。個人的には、創業のお手伝いをしたサロンオーナーさんと飲みに行くこともあります。
下田 おいしいものが好きなので、飲食店巡りをしていますね。お客様に教えてもらった店にも行きますよ。味が濃いもの、辛いものが好きかな。ラーメンとか。
島田 私はサッカー観戦ですね。当金庫がオフィシャルスポンサーをしているロアッソ熊本は15年来のファンで、年間35試合くらい応援に行っています。甘いものを食べて、サウナで汗をかくのも好き。両方のバランスをとって〝プラマイゼロ〟にしています(笑)
編集部ひとこと
「地方銀行や大手銀行の支店に勤めていたら、取引先の経理担当者までしか会えないかもしれない」。座談会で語られた一言は、金融業界の中の営業スタイルの違いを象徴している。信用金庫は中小企業や個人を対象に「中小企業の発展」「住民生活の向上」「地域社会の繁栄」というビジョンのもとに経営を行っている。
「この会社が抱える問題を経営者と一緒に考えたい」「この人の将来の生活を豊かにしてあげたい」など、直に接する相手のことを考えることが好きな人には、信金の営業スタイルは向いているだろう。転勤は熊本県内のみで、転居が原則ないことも、地元に腰を据えて長く働きたい人には大きなメリットだ。
熊本第一信用金庫 概要
所在地 | 〒860-8681 熊本市中央区花畑町10-29 【電話】096(355)6111 |
---|---|
設立 | 昭和25年8月1日 |
出資金 | 36億4,700万円 |
役職員数 | 228人 |
店舗数 | 22店舗 |
役員 | 会長/森本孝 理事長/鴻池卓児 常務理事/荒尾俊比古、東信治 常勤理事/石田誠也、原田亨一郎、堤裕倫、大森幹夫、北村礼希、平野公司 常勤監事/村中研一 非常勤理事/粟津勝蔵、豊住賢一、菊田廣文 非常勤監事/岡田直樹、古田邦昭 |
関連会社 | (株)いっしんサービス |
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